○リニア中央新幹線について○会計年度任用職員について○障害者雇用について

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 12番(寺尾 昭君) 私は2つのテーマで質問をいたします。
 まず、リニア新幹線問題であります。
 リニア新幹線は本当に必要なのか。問題点を挙げれば枚挙にいとまがないと。我が党は、余りに問題が多いこの事業はやめたほうがいいという立場でありますけれども、6月、静岡市がJR東海と基本合意を結んだことにかかわり、きょうは質問をしたいと思います。
 JR東海は、9月18日、リニア中央新幹線南アルプストンネル工事、静岡工区の準備工事として葵区椹島に作業員宿舎建設の準備を開始しました。トンネル本体工事ではないものの、それにつながるものであり、いよいよ第一歩を踏み出したということが言えます。
 本年6月20日、田辺市長はJR東海と基本合意書を結びました。その趣旨を見てみますと、南アルプストンネル建設の円滑な推進と地域の振興等に資するためと、このようにあります。また、その第5項では、南アルプストンネル工事に必要とする許認可を含む行政手続に関して速やかに対応すると、このようにも言っております。現状では、工事に踏み出す環境と条件が整っているとは言いがたい。そういう中で、JR東海の強硬とも言える今回の行動、基本合意書がその背景になっているというふうに言ってもいいのではないでしょうか。
 この基本合意書で京塚橋付近から大沢戸橋付近までの間に、JR東海がみずからの負担でトンネル工事を施工するというふうに言っております。井川地区の住民の皆さんにとっては、長年の悲願が実現ということにはなるわけであります。また、交通安全の確保や通行時間の短縮、観光振興など、地域活性化に結びつくことが期待されると言われております。
 しかし、トンネル工事と南アルプス自然環境の保全や水環境問題の解決とは次元が異なる問題だと、これとのいわゆる交換条件ということで、静岡市がリニア推進の立場にかじを切ったというふうに見られているわけです。これまでも市長等は議会答弁等で周辺自治体と緊密に連携していくこと、知事意見を踏まえてJR東海が誠実な対応をするか注視すること、大井川の水は命の水だということで、水質、水量確保対策や関係自治体との協議などがJRによりしっかりなされるか、これを注視していくんだ。そして、また、南アルプスの自然環境の保全や、ユネスコエコパーク登録との整合を図ることを絶対条件だというふうに言っておりまして、これらをJRに申し入れるということを何回か議会の中で、表明をしているわけです。私たちこの市議会も2014年、これらと同様な内容で決議をしているということもあったわけであります。
 これらのことが現在、担保されているのか。答えはノーではないかと私は思うんですね。リニア工事にかかわる諸懸案が解決していない現在、まさに抜け駆け的に静岡市だけが容認ということになれば、県や関係市町との連携は今後どうなるのか、心配であります。
 そこで、質問でありますけれども、静岡市とJR東海の基本合意書の趣旨は中央新幹線の円滑な推進と地域の振興等と言っておりますけれども、この目的については、この2つに限定をしていいものかどうかということについて、まず質問をいたします。
 トンネル工事に伴う発生土の処理は、懸念材料として指摘されております。その量は360万立方メートルと、ちょっと想像がつかないわけですけれども、その大部分が燕沢に積み上げられるということになっているようです。これも豪雨時の河川等への影響が指摘をされております。基本合意書では、市は発生土等の再生利用に協力するというふうにありますけれども、この協力とはどのようなものなのか、この点についても質問をいたします。
 基本合意書の末尾に、内容の詳細等は別途協議するというふうに表現されております。具体的な協議項目や今後のスケジュールはどのようになっているのか、この点についてもお示しください。
 田辺市長は、6月20日のJRとの共同記者会見において、水環境については上流域について新しい提案をいただいているが、現実対応可能な最大限の提案をしていると、この席で発言をいたしまして、関係市町の首長など多方面から批判を受けております。とりわけ県知事と県中央新幹線対策本部は、6月22日、厳しいコメントを発表しております。これに対し市長は、6月26日、「現実対応可能な最大限の提案」は誤解を受ける言葉であったという理由で、撤回をされたという経緯があったわけです。さらに、水環境問題については県や関係者との協議状況を踏まえ、「適切な環境保全措置と誠実な対応をJR東海に働きかけていく」とのコメントを発表しているわけです。
 さて、この6月20日の共同記者会見での発言でも明らかなように、基本合意書の締結はJR東海がこの現実対応可能な最大限の提案をしたということが、この基本合意書の前提になっているのではないかと私は思うんですね。この部分を撤回をしたということでありますから、つまり基本合意書の前提が崩れたということにはならないか。
 そこで、質問でありますが、基本合意書締結後、市長発言の一部撤回ということがあったわけですが、この基本合意書を見直すべきではないかというふうに思いますが、この点はいかがでしょうか。
 次に、会計年度任用職員制度、耳新しい言葉で、きょう資料をお手元にお配りをしておりますけれども、この資料を見てもなかなかよくわからないというのが本音ではないかと思います。2017年5月に地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律が公布されて、2020年4月から施行ということになります。これから条例改正、規則、要綱などの改正を早急に行うことが見込まれるわけです。制度改正によって、これまでの臨時非常勤職員の制度とどこがどう変わるのか、これを機に勤務条件の改善につなげていくべきではないかという視点から質問をいたします。
 現在、地方自治体が採用している臨時・非常勤職員はなかなか複雑でありまして、地方公務員法第3条あるいは第17条あるいは第22条というところで取り扱われているわけですけれども、実はこの採用や任務の内容、任期などの法的位置づけが曖昧なんです。そして、自治体によって必ずしも統一的に扱われているとは言いがたい。そこで、国は、これを会計年度任用職員制度によって適正化する、これが1つの目的にもなっていると言われております。
 しかし、新たな問題もあるわけです。この会計年度任用職員は、フルタイムとパートタイムというふうに分けられますが、ここの差が大きい。あるいは、会計年度任用職員を任用する規定が明確でないという点があります。国会での法案審議の際に、常勤職員を中心とする公務の運営は維持されるべき、つまり本来は正規職員が担うべきだよということを政府の答弁で言っておりますし、総務省のマニュアルでも同様のことを示唆しております。
 今後、権力的な業務以外は会計年度任用職員に担わせるということも自治体の判断によりできるとなれば、限りなく正規職員が縮減されていくという可能性もなきにしもあらず。
 そこで質問いたします。まず、本年4月1日現在の臨時・非常勤職員の実態をお聞きします。
 次に、静岡市の職員配置計画を見てみますと、他の政令指定都市との比較において本市の正規職員数が必ずしも多いとは言えない状況だと、このようにあります。他の政令市と比較してどのような状況になっているのか、お示しください。
 また、今回の制度改正において公務の運営において任期の定めのない常勤職員を中心とすると、こういう原則を前提とすべきだというふうに考えが示されておりますが、これについての認識をお聞きします。
 さらに、今回の改正において常勤職員を要する職は、相当の期間任用される職員をつけるべき業務との考え方も示されております。これについての認識も伺います。
 そして、1回目の最後に、現状、相当の期間任用される職員をつけるべき業務に配置している臨時・非常勤職員というのは、かなりいるのではないかと私は思っていますが、そういう職員はいるのかどうか、改めて確認をしたいと思います。

◯企画局長(松永秀昭君) リニア中央新幹線の本市とJR東海との基本合意書に関する4点の御質問にお答えいたします。
 まず、基本合意書についてですが、今回、JR東海と締結した基本合意書は、JR東海が求める中央新幹線の建設の円滑な推進と本市が求める地域振興と環境保全について、大枠で合意したものであります。
 本市が求めていたもののうち、地域振興については特に考え方に大きな隔たりがあった県道三ツ峰落合線のトンネル新設を含めた整備に関して、JR東海との役割分担を明確にいたしました。また、環境保全に関しても、JR東海が環境保全措置を確実に実施するとともに、大井川の流量減少に不安を抱いている中下流域に誠実に対応することを確認したものでございます。
 したがいまして、基本合意書は、議員御指摘の建設の円滑な推進と地域の振興の2点に限定したものではございません。
 次に、発生土等、再生利用に係る市の協力についてですが、地元は、井川財産区所有の剃石地区の土地を、南アルプスユネスコエコパークを訪れる登山者等の利便性向上に役立ててほしいとJR東海に求めております。
 一方、JR東海は、環境負荷の低減のため、建設工事に伴い発生する水分を含んだ土、いわゆる発生泥土、泥の土と書きますが、この発生泥土を脱水などにより再資源化した上で、土地を造成するための盛り土材としての活用を検討しております。このことから、地元とJR東海の調整役として市が協力することを想定しております。
 続いて、今後の協議項目とスケジュールについてですが、基本合意により市とJR東海との県道整備に関する役割分担が明確になったことから、新設するトンネルの詳細や、市が実施します整備箇所等について協議を行っているところであります。その他の協議項目としましては、自然環境の保全や発生土置き場の管理に関すること、林道東俣線の整備に関することなどが挙げられます。
 これらの項目に関して、リニア中央新幹線の本格的な工事が始まる前までに協議が完了するよう、引き続きJR東海と協議を行ってまいります。
 最後に、基本合意の見直しについてですが、JR東海の確実な環境保全措置の実施と中下流域への誠実な対応という基本的な考え方を書面で交わしていることから、その基本合意書の重要性に鑑み、見直す考えはございません。

◯総務局長(大長義之君) 会計年度任用職員制度施行に向けての5点の御質問にお答えをいたします。
 まず、本年4月1日現在の非常勤職員等の人数についてでございますが、非常勤職員が1,909人、臨時職員が628人、パートタイマーが760人となっております。
 次に、本市の正規職員数の他の政令指定都市との比較についてでございますが、総務省の平成29年地方公共団体定員管理調査の結果をもとに、同年4月1日現在の各政令指定都市の人口10万人当たりの正規職員数を計算したところ、本市は1,237人であり、政令指定都市20市中、多いほうから10番目で、平均値の1,275人と同程度となっております。
 なお、一番少ない市は相模原市の1,062人、一番多い市は大阪市の1,548人です。
 次に、公務の運営においては常勤職員を中心とする原則についてですが、現時点においても本質的な考えは変わりませんが、本市においても国の考えと同様、公務については常勤職員が中心となって運営することが原則と考えております。この原則を前提としつつ、効率的な行政運営を行うため、補助的業務や定型的業務、臨時的業務等、事務の種類や性質に応じて必要とする期間などを勘案し、非常勤職員や臨時職員等を配置し、一部の公務の運営を行っております。
 次に、相当の期間任用される職員をつけるべき業務についてでございますが、これは、単に業務の期間や継続性のみによって判断されるものではなく、業務の内容や責任の程度等を踏まえた業務の性質により判断されるものと認識しております。
 典型的な例を申し上げますと、組織の管理・運営自体に関する業務や財産の差し押さえ、許認可といった権力的業務などが挙げられます。
 最後に、常勤職員が担うべき業務に非常勤職員等が配置されているかについてですが、教育委員会における教員等の代替として任用されている臨時講師などを除きまして、非常勤職員及び臨時職員は、補助的業務・定型的業務を初め、比較的常勤職員よりも責任の度合いや困難性が低い業務に配置しております。
  〔12番寺尾 昭君登壇〕

◯12番(寺尾 昭君) 2回目です。
 まずは、リニア中央新幹線についてであります。
 この間の経緯の中で、関係市町首長などの批判的発言や県知事などのコメントなどから見て、この静岡市との見解の違いというのがかなりあるなと、浮き彫りになっているのではないかという感じがするんですね。先日20日の定例記者会見における報道でも、市長は、JR東海が県と合意に達していなくても、本体工事に係る林道の使用許可は出すこと、今後も基本合意書に従って一つ一つの件について判断するということを言っているわけですね。
 例えば島田市の市長は、大井川は静岡市にとっては地元の川ではないのだなというふうに言っているんですね。また、川根本町の鈴木町長は、基本合意書は白紙に戻すべきだと、静岡市は1人抜け駆けで対応しては困るという趣旨の発言もしております。
 先日、市長による林道通行許可を受けて、21日にはJR東海による作業員宿舎の材料搬入も行われているわけで、この関係首長また利水者団体といいましょうか、大変心配をされるわけです。
 今後、県や流域市町との連携についてどのようにしていくのか、改めてお聞きします。
 会計年度任用職員について改めて、会計年度任用職員制度の施行に向けた今後のスケジュールをまずお聞きします。
 次に、会計年度任用職員の採用方法はどんな方法を考えているのか、選考なのか、競争試験なのか等々についてお聞きいたします。
 そして、従前の臨時職員の任用等に当たって、一旦終わって次の任用までの間にいわゆる一定の期間を設ける、空白期間を設けるということになっていたわけですけれども、今後、この空白期間の設定をどのように考えているのか、お聞きします。
 フルタイム会計年度職員の給与水準についても、この常勤職員との均衡を考慮というふうに言っております。どんな内容を考慮して決めるのか、お聞きします。
 最後に、本市の障害者雇用についての問題についてお聞きしておきます。障害者雇用については、水増しというのが問題になっておりました。本市の場合どうなのかということで、きょう何か記者会見をされるようですけれども、従来の若干訂正があるということを聞いておりますが、そんなことはぜひないように、早く法定雇用率を達成すべきということをあわせて今要望しておきたいと思います。 本市におけるこの障害者雇用の現状はどうなっているのか、そして法定雇用率、少なくともこれは達成すべきであると私は考えますが、これに向けての方策についてお聞きをいたします。 リニアにつきましては、今後、関係8市2町と利水者関係組織というのがありますが、ぜひ連携をこれはもう強めていくということでなければ、リニアは進まないといいますか、工事は進まないと思いますので、この点を改めて要望をしておきたいと思います。 以上です。

◯企画局長(松永秀昭君) リニア中央新幹線に関しての県や流域市町との連携についてですが、まず県とは、県市共通の行政課題について協議を行う県・市地域政策会議において、リニア中央新幹線に関する情報共有、意見交換を行っているところであり、今後も緊密に連携を図ってまいります。
 また、流域市町とは、中部5市2町によるしずおか中部連携中枢都市圏の枠組みを通じて、情報共有に努めながらコミュニケーションを図ってまいります。

◯総務局長(大長義之君) 私からは、会計年度任用職員制度について4点の御質問と障害者の雇用率向上に向けての2つの御質問についてお答えをいたします。
 まず、会計年度任用職員制度の施行に向けた今後のスケジュールについてでございますが、平成29年5月の地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律の公布以降、同年8月から断続的に国から制度の導入に向けた課題等に対する技術的助言を受けながら、現在、制度案を検討しているところでございます。
 今年度中に職員組合との協議等を経て、来年の6月議会までには条例案を提出していく考えでございます。
 次に、会計年度任用職員の採用方法についてでございますが、国からは会計年度任用職員の採用方法については、その従事する業務の性質などを踏まえ、競争試験によることを原則とする任期の定めのない常勤職員とは異なり、競争試験または選考により採用することができる旨が示されており、これを踏まえて検討をしているところでございます。
 次に、空白期間の設定についてでございますが、国の考えと同様、空白期間を設けることは適切ではなく、職務の遂行に必要かつ十分な任期を定める必要があると認識しており、会計年度任用職員制度の施行に向けて適切に任期を設定していく考えです。
 次に、会計年度任用職員の給与水準の決定における常勤職員との均衡の考慮についてでございますが、新制度の趣旨において会計年度任用職員の給与水準を定める際には、地方公務員法第24条に規定する職務給の原則、均衡の原則等に基づくこととされています。
 具体的には、従事する職務の内容や責任の程度、在勤する地域、地域の民間企業において同一または類似の職種がある場合には、その労働者の給与水準の状況等に十分留意しつつ、地域の実情等を踏まえ、適切に決定することが必要であるとしています。
 国の技術的助言においては、採用時の初任給は、職務内容や責任、職務遂行上必要となる知識、技術及び職務経験等の要素を考慮して給料額を決定すること、次年度以降の任用時の給料は、常勤職員の給与改定や勤務経験などにより一層向上した能力を踏まえて職務を行うことを考慮して、給料額を変更して設定することが示されています。
 続きまして、本市の障害者雇用率向上に向けての2つの御質問にお答えいたします。
 まず、本市における障害者雇用の現状についてでございますが、本年6月1日時点の障害者雇用率は、市長部局で1.78%、上下水道局で2.03%、教育委員会で2.22%となっております。障害者の雇用の促進等に関する法律に規定されている法定雇用率は、平成30年度から市長部局及び上下水道局では2.3%から2.5%に、教育委員会では2.2%から2.4%に上昇しており、全ての部局において法定雇用率を下回っている状況でございます。
 次に、法定雇用率の達成に向けた方策についてでございますが、本年度から平成29年度の正規職員の採用選考に引続き、非常勤職員選考試験においても対象を身体障害者に限定したものから、いかなる障害の方でも受験できるよう変更いたしました。
 また、今後の取り組みといたしましては、障害者が従事できる業務範囲の拡充及び創出を検討し、これまで以上に雇用機会の拡大を図るとともに、障害者が働きやすい環境を整備し、障害者雇用の一層の推進を図ることで法定雇用率を達成したいと考えております。