静岡市立大学設置構想についての見解

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 静岡市は、5月21日、市立大学の設置可能性を含めた「高等教育のあり方検討会」の初会合を開催した。検討会の代表者には前牧之原市長、委員に法政大学大学院教授、静岡銀行会長、教育関係者など15人が選ばれている。市立大学構想は2015年の9月議会で田辺信宏市長が表明、人口減少対策としてまとめた総合戦略に位置づけられている。

今回、市立大学構想が明らかになるなか、関係者や市民からは、「少子化が進むなかで市立大学設置の必要性があるのか?」、「市内に既にある私立大学の経営を圧迫しないか?」、「リカレント教育のために市立大学の必要性があるのか?」など疑問の声が出されている。一方、NHKの調査(「日本人の意識」調査(2013))によれば、国民の6割以上が我が子に大学までの教育を受けさせたいと望んでいる。そうした市民の要求に応えることは必要とは言え、それが静岡市として新しく大学を設置することなのか、唐突感は否めない。

仮に大学設置を検討する場合でも、大学を取り巻く現状と問題点を十分分析し、大学関係者の意見を尊重するとともに、広く市民各層の意見を反映させることが重要である。そもそも、大学設置が人口減少対策と結びつくのか、それも明らかではない。今後、静岡市では数々の大型プロジェクトが計画されていることから、市立大学構想については、財政問題を含め「設立ありき」でなく慎重な議論が必要と考える。