子ども子育て支援新制度 子どもの健やかな成長保障を

カテゴリー:

DSC_0458◯25番(鈴木節子君) 通告に従いまして、子ども・子育て支援新制度について質問します。
 本市だけが来春から公立園を廃止して認定こども園移行を強行し、10月から申請実務が始まろうとしています。この制度については、容認できない問題を多数抱えており、我が党は公立園の認定こども園移行は撤回すべきというスタンスですが、現時点で表面化している問題を改善させる立場で質問します。
 第1に、市民の理解についてです。
 市民は全く理解、納得していません。説明会参加者の声は、制度が複雑でわかりにくい、希望する園に入園できるのか不安、保護者負担がふえるのではないか、認定こども園に移行するメリットが見えないなど、全体的には概要の説明だけでよくわからなかったというものです。もともと短期間のうちに難解な制度を知らせ、理解を得るには無理がありますが、10月の申請を直前に控え、市民、保護者に十分な理解、納得は得られているのか、見解を伺います。
 また、理解できない、わからないという声があるのに、申請に無理やり押し込むのではなくて、正確な情報提供が必要です。保護者が混乱や滞りなく申請実務を行えるよう、今後の周知、広報はどのように行うのか、伺います。
 第2に、保育と教育の一体的提供についてです。
 新幼保連携型認定こども園の目的は、満3歳以上の子供に教育と保育を一体的に行うことと、保護者に対する子育て支援と定義しています。
 しかし、教育課程にかかわる教育時間は1日4時間程度、1号認定、いわゆる幼稚園児が在園している時間だけが教育時間と規定されています。1日8時間から11時間在園している子供と保育時間4時間程度の子供を一体的に受け入れ、単一の施設として単一の基準を定めています。1号認定は年間1,000時間、2号、3号認定の子供は3,000時間強程度と大変な違いがあります。一体的に教育、保育するということは、在園時間の差があっても、全ての子供が安心でき、安定した生活や年齢に合った活動の保障、そして子供同士の関係が築かれ、一緒に育っていくことです。教育と保育の一体的提供とは、どのような理念のもとでどのような実践を進めるのか、具体的にお示しください。
 第3に、待機児解消についてです。
 新制度は、待機児解消の切り札だと、昨日、子ども未来局長は胸を張って答弁されましたが、新制度に必要な事業費約1兆1,000億円の財源は、消費税10%の増税で賄うことが前提です。10%への引き上げは景気の状況により判断しますので、現在約4,000億円の財源見通しが立っていません。不安定要素を抱えているのに見切り発車しました。
 本市の待機児童解消加速化計画は、平成25、26年度で1,044人の保育供給量を整備、そのうち幼稚園の認定こども園化300人、民間園の新設200人、小規模保育事業の新設214人などを計画しました。
 見通しについて、昨日子ども未来局長は、おおむね達成できると答弁しましたが、どうでしょうか。1,044人に対し到達はどうか。また、幼稚園の認定こども園化はどこまで進んだのか、到達を伺います。
 第4に、保育料の徴収根拠についてです。
 本市の保育料は、新制度移行後も国基準より保護者負担軽減策を引き続き続ける算定になっており、この姿勢は評価しております。しかし、今後財源不足を理由に保護者負担が増額しないという保証はありません。本市の保育料徴収基準は、児童福祉法施行細則により市長が定め告示するやり方で、条例に保育料の金額が規定されていません。今後議会に諮ることなく、保育料が一方的に引き上げられることがあり得ます。
 そこで、新制度の保育料徴収根拠は何かが問題となります。児童福祉法第56条第3項が改正され、保育料の徴収根拠は削除されました。子ども・子育て支援法にも保育料徴収根拠は定められていません。
 このように、本市の制度では細則によっておりますので、一方的に値上げがされるのではないかという危惧から、こうした質問を行っております。
 新制度の保育料徴収は何を根拠とするのか、伺います。
 以上、1回目の質問です。

 

◯子ども未来局長(池谷眞樹君) 子ども・子育て支援新制度についての4点の質問にお答えいたします。
 新制度への市民の理解のための周知、広報についてですが、新制度の仕組みや本市の取り組みについて、昨年度から広報しずおかやウェブサイトなどで保護者への周知に努めてまいりました。
 具体的には、広報しずおかでは、3月15日号、7月、8月、9月号において、制度の仕組みから利用手続まで、その時々に応じた内容を紹介してまいりました。このほかの紙媒体では、6月と9月にリーフレットを発行し、保育園や幼稚園の在園児、そこに来園する未就園児の保護者への配布を依頼したほか、子育て支援センター、保健福祉センター、児童館など、未就学児童の保護者が訪れる施設に配置いたしました。
 また、保護者に直接説明する機会としては、市立幼稚園全園での説明会や、主に未就園児の保護者を対象とした各区説明会を開催いたしました。
 一方、各園に対しては、職員が保護者からの日常の問い合わせに対応できるよう、市立、私立を問わず、幼稚園、保育園の園長会に出向いて説明会を行い、情報の発信、共有をしております。
 さらに、周知を徹底するため、子ども・子育て支援ウェブサイトのスマートホン対応、説明会の動画配信、ツイッターの開設など、インターネットを活用した広報にも力を入れております。
 引き続き、このような取り組みを通じて、円滑に手続が進むようにしてまいりたいと考えております。
 次に、教育と保育の一体的提供における理念についてですが、本市では現在策定中の子ども・子育て支援事業計画において、静岡市は子供をたいせつにしますを引き続き基本理念とすることを予定しております。
 また、幼保連携型認定こども園教育・保育要領における教育及び保育の目標は、義務教育及びその後の教育の基礎を培うとともに、子供の最善の利益を考慮しつつ、その生活を保障し、保護者とともに園児を心身ともに健やかに育成するとされております。
 認定こども園においても、この理念及び目標のもと、園児一人一人のおかれている状況を踏まえ、その子の特性や発達の課題を捉え、行動や思いに共感するなど、心を通わせ、狙いや内容にふさわしい環境づくりを行い、子供が主体的に遊ぶことを通して、生きる力の基礎を培っていきます。
 次に、待機児童解消の取り組みについてですが、待機児童解消加速化計画では、平成25年度、26年度の2年間で1,044人分の保育の受け入れ枠を確保する予定であり、これについてはおおむね達成できる見込みとなっております。
 このうち、私立幼稚園の認定こども園移行によるものは、計画では300人分となっており、これについてもおおむね達成できる見込みです。
 最後に、市立認定こども園に係る利用者負担額の徴収根拠ですが、地方自治法第225条に規定する公の施設の利用に係る使用料の徴収になります。

◯25番(鈴木節子君) では、2回目の質問です。
 市民の理解についてですけれども、るるいろんな御努力をしているのはよくわかるんです。市民の方に知らせようという努力はわかりますが、当局がきのう示していただいたリーフなんですが、このリーフについての感想、評判は御存じでしょうか。大変わかりにくいものを配布し混乱させるより配布しないほうがいい、こんな声が現場から聞こえているんです。大変評判が悪いんです。
 保護者は選択を迫られ、動揺し、混乱の中で申請実務に突入して、希望する園に入園できるのでしょうか。一方的に公立園を廃止し、認定こども園に移行させると決めたのは行政なんです。無理を承知でスケジュールを組んだ責任をとるべきです。要望のある園には、出向いて質疑応答を伴う説明会や電話相談の実施など、混乱や不安をなくすことが、公立園の廃止や移行を強行してまで行う行政の責任です。今後の市民理解についての方針を伺います。
 2点目の教育と保育の一体的提供についてです。
 認定こども園の保育、教育はどのように考えられているんでしょうか。改正認定こども園法第10条第2項には、小学校教育との円滑な接続に配慮しなければならないとあります。先ほど局長に御答弁いただきましたけれども、その背後に、やはり見えているのは認定こども園での教育、保育は、この目的にかなう小学校との円滑な接続が狙いです。幼児期の教育を、小学校教育の前段階のものとして就学準備期間とみなし、小学校教育にうまく適応する子供を育てることが目的となるような、狭い視点での子供の育ちが評価される、そんな危険な方向性が見え隠れしています。小学校との円滑な接続のための教育とはどのような内容で、何を目的としているのか、お答えください。
 また、幼児期の教育を小学校での授業にスムーズに適応できることが目的とされ、中学準備教育に傾斜する意図があると思われますが、当局はどのように解釈しているのか、伺います。
 3点目の待機児解消についてです。
 私立幼稚園は、これまでは毎年秋の幼児募集時、子供の争奪戦や経営運営に頭を悩ませてきています。当局は、認定こども園に移行すれば、経営が楽になると、移行を誘導してきましたが、高い報酬単価などで誘導政策をとっても、もくろみどおりにはいかないことが全国では広がっています。
 私学助成制度が維持され、認定こども園に移行しなくとも経営は維持できるため、移行しない幼稚園が圧倒的に多いのです。また一旦移行を決めても、移行を返上するという幼稚園もふえています。幼稚園の認定こども園化は進んでいないのが実情です。
 本市の保護者の声を聞きましたら、やはり幼稚園を選ぶという声が返ってきています。また、保育所研究所の試算によると、幼稚園児のほうが保育時間が短いにもかかわらず、単価設定が幼稚園児に大きく上乗せされたことにより、幼稚園児を獲得したほうが運営費はふえるメリットがあり、保育園児の定員はふえません。結果、待機児童解消にはつながらないということが判明しました。
 このように、幼保連携型認定こども園は、経営が安定するどころか不安定になり、認定こども園移行は進まず、切り札である待機児解消にならないことは明らかです。
 本市の待機児解消はどうでしょうか。待機児童解消加速化計画はおおむね順調と再三述べておられますが、その実情を全然お示しになっていないじゃないですか。小規模保育事業も計画どおり進んでいるんですか、そのお答えがありません。
 幼稚園が認定こども園に移行してもゼロ歳から2歳児は、当分の間、受け入れしないんです。待機児の8割を占めるゼロ歳から2歳児の定員を増員しないで、なぜ待機児解消と言えるのか、伺います。
 また、私立幼稚園の新制度への移行は、誘導しても進んでいないんです。
 昨日の佐藤成子議員の質問に対しても、私立幼稚園11園ほどが移行するとお答えでしたが、裏を返せば8割の園は移行しないんです。28年度についても状況により判断すると言いますが、様子を見なければ判断できません。うかつには移行できないのがこの制度なんです。移行を誘導しても進まないのはどういう理由、判断なのかを伺います。
 4点目の保育料徴収根拠についてです。
 新制度の保育料徴収根拠は、地方自治法第228条の分担金、使用料、加入金及び手数料に関する事項は、条例でこれを定めなければならないという規定が適用されます。条例で規定すべき事項は納入義務者、金額、徴収の時期及び方法であり、その細目は条例から規則に委任することができるが、少なくとも1件当たり金額は当該条例中に規定しておくべきであり、金額そのものを条例から規則へ委任してしまうことは妥当でないと書いてあります。
 本市の条例は、公定価格全体額から公費負担分を差し引いた額が保護者負担となる、保護者負担の仕組みを示すだけで、徴収の細目は規定していません。内閣府の説明でも、条例で定める際は、金額の決定を全面的に規則に委ねることはできないので、少なくとも条例上、上限額あるいは範囲等が規定されていることが求められると説明しています。
 地方自治法によれば、保育料の所得階層別金額は条例で規定すべきです。しっかりと条例にその額を示せというのが私の見解ですが、当局の見解を伺います。
 以上、2回目の質問です。

 

◯子ども未来局長(池谷眞樹君) 子ども・子育て支援新制度についての6点の質問についてお答えいたします。
 市民理解のための説明についてですが、さきに御答弁いたしましたとおり、これまで各種媒体を活用して、その時々に応じて求められる情報を提供してきたところであり、市民の理解は相当程度進んでいるものと認識しております。
 なお、私立保育園での説明会については、各運営主体が園の状況を踏まえ、実施していただくことが適当と考えており、そのため園長会等で説明を行い、情報共有に努めております。
 今後も、さきに述べた多種多様な取り組みを通じて、効果的な広報を引き続き行い、各園において適切な説明がなされるよう支援していきます。
 次に、小学校教育との円滑な接続への配慮についてですが、幼保連携型認定こども園教育・保育要領解説の中では、小学校入学と同時に、子供が突然違った環境になり戸惑うことがないよう、また、子供の発達や学びは連続していることを踏まえる必要があることから、小学校教育への円滑な接続のために配慮と連携を図ることが明記されています。
 具体的には、園児と児童の交流、小学校教師との意見交換や合同の研修などの取り組みが例示されており、これらについて、今後教育委員会と連携して検討していきます。
 次に、幼保連携型認定こども園教育・保育要領と就学準備教育についてですが、認定こども園では、計画的に環境を構成し、遊びを中心とした生活を通して体験を重ね、園児一人一人に応じた総合的な指導を行うものであり、小学校の学習とは異なっています。
 その異なりがあることを前提として、子供が入学する際に、無理のない接続ができるよう、こども園と小学校の双方の指導計画の中で配慮することが求められると考えます。
 次に、待機児童解消対策についてですが、本市の待機児童解消加速化計画は、保育所新園、分園の設置や小規模保育の推進、待機児童園の設置などに加え、私立幼稚園の認定こども園への移行など、総合的に取り組むことで、待機児童の早期解消を目指しているものです。
 市立幼稚園から移行する市立認定こども園では、当分の間、ゼロ歳から2歳児の受け入れはしませんが、新制度で認可事業として位置づけられる3歳未満児の保育を行う小規模保育の卒園後の受け皿確保にもつながるなど、待機児童解消に一定の効果があるものと考えます。
 次に、私立幼稚園の新制度への移行予定ですが、私立幼稚園の新制度移行に関する調査では、平成27年度に移行予定とする園は53園中11園で、これら全ての園が幼保連携型認定こども園になる予定です。
 移行しないとした園の主な理由としては、現時点で経営的判断が難しいことや移行した園の状況を見て判断したいなどが挙げられています。
 最後に、市立認定こども園に係る使用料についてですが、静岡市立こども園条例第12条第1項では、内閣総理大臣が定める基準により算定した費用の額と規定しています。これは、個別の利用施設に応じて、基準に基づき算定することにより費用の額が算出されるものであり、条例で具体的な金額を規定することと同じであると認識しています。

 

◯25番(鈴木節子君) それでは、3回目ですが、子ども未来局長に教育と保育の一体的提供についていろいろとお答えいただきました。その方針でしっかりとやっていただきたいんですが、私の問題意識は、それでは幼保連携型教育保育要領では、保育所指針にもともとあった子供の発達という章そのものが全面的に削除されているんです。この子供の発達や成長の過程を大事にする視点がなくて、小学校のスタートラインでの成果だけを重視するような保育は、結果的には破綻します。子供の発達を保障できるような保育をどのように確保、実践していくのかを伺います。
 もう1点、伺います。
 この認定こども園については、本市だけが公立園を廃止してまで移行することを決めましたが、ほかの市は、やはり様子を見ているんです。この制度が、本当に子供の発達のために最善のものかどうかを慎重に見きわめなければ、拙速には飛び込むことができないという判断なんです。子供の健やかな成長を願う保護者の要求に応えるには、児童福祉法第24条第1項の保育の実施義務を担う認可保育所の増設、新設を基本とすべきです。
 その方針を伺って、質問を終わります。