地域経済活性化と道路行政について質問

カテゴリー:

172◯3番(寺尾 昭君) 私は、2つのテーマで質問いたします。

まず、地域経済活性化という点についてです。
今、国民の第一の願いは、この不景気を何とかしてほしいということであります。このような世論を受けて政権に復帰しました安倍政権は、デフレ脱却、2%物価上昇を掲げ、13兆円余の補正予算、あるいは来年度92兆円の予算と、経済対策を打ち出しております。国会ではまだ予算が可決されていないという状況でありますけれども、株価の上昇、円安傾向が続いているわけであります。
実体経済を反映していないということにもなるわけでありますけれども、この対策で、物価だけが上がって賃金や年金が下がっている、こういう現状では、国民の生活はますます苦しくなる、そういう声もあるわけであります。円安は、輸出産業には有利ということにはなるわけですけれども、逆に輸入品は高くなる。現にガソリンの値段などが大変上がっているということで、国民の生活、あるいは生産活動などにも影響が出ているということであります。


いわゆるアベノミクスで景気回復はできるのか。これまでの政権がとってきた経済対策といえば、大型開発優先ということで、公共事業が中心ということであったことは、御承知のとおりであります。
トリクルダウンというような言葉があるわけです。企業が繁栄すれば、そこに働く労働者の賃金も上昇する、生産性の向上こそが働く者の生活を豊かにする、こういうふうに言われ続けてきたわけであります。しかし今、大企業が、260兆円を超える、いわゆる積立金といいましょうか、内部留保を抱えるまでに至っていながら、残念ながら、労働者の賃金は減り続けているということであります。
加えて、社会保障の改悪というようなこともあり、年金が下がった、あるいは静岡市で言えば、きのうから議論されております国民健康保険料の大幅な値上がりということで、国民のこの可処分所得というのは、これはやっぱり減っていると言っていいわけであります。
景気対策の焦点は、いわゆるGDPの6割を占める個人消費をいかに拡大するか、ここに鍵があるわけでありまして、そのためには、国民の懐をどう豊かにしていくか、ここが一番の問題であります。
我が党は第1に、労働者に大幅賃上げをするということを求めております。私たちの計算では、内部留保260兆円のわずか1%、これを取り崩すだけで1万円の賃上げが可能になってくる、こういうことが言えるわけです。そういう点では、決して無理な相談ではないと言えるのではないでしょうか。
国家公務員の給与を、大震災の復興財源、これは先ほど来から議論されているわけですけれども、7.8%削減した。今度は、市の職員、地方公務員にもこれを広げるということが政府の方針として打ち出されておりまして、交付税の削減という方法で、いわば押しつけというようなことが行われようとされております。これが実施されると8,500億円の削減ということになり、国と地方を合わせると、何と1兆7,000億円だということになります。
先ほど来からの議論からもありますように、人事院や人事委員会の官民比較調査によって公務員の賃金というのは決まっているわけでありまして、そういう点では、民間に後追いと言っても、この水準はいいわけであります。つまり、民間水準を上回るということは理屈上あり得ないというのが公務員の賃金だと言っていいと思います。先ほど来からの議論で、あるいは、きのうの市長の答弁からも、国に対し、一方的なこの押しつけ、これは従う義務はないという趣旨のことをおっしゃっております。
今後、ぜひ市として自主的に判断をするということが必要だと思いますけれども、私は、市の職員の給与をこれ以上引き下げるということは、これはやるべきではない。これも、先ほど来のこの議論で、消費を一層冷え込ませると、こういうことになって、地域経済にとっても大きな痛手になる。先ほどの総務局長は、相関関係はわからないと言われておりましたけれども、これはもう相関関係は明確だと言ってよろしいのではないでしょうか。
第2は、雇用の問題であります。雇用は、正規職員として採用することを原則とすべきである、これこそが安定雇用だと。非正規雇用が今、全体の3分の1を超える、あるいは青年層では2人に1人、こういういわゆる非正規職員、きのうもありましたけれども、一生懸命働いても年間200万円にも満たないという、いわゆるワーキングプア、こういう方々が何と1,000万人を超えるという状況に今あるという数字が出ております。少子高齢化というようなことを言われております。市長も、できるだけ人口をふやしたいというお話を絶えずされるわけですけれども、これではやはり少子化に拍車をかけるというふうにならざるを得ないと考えるわけであります。
第3は、社会保障の充実ということではないでしょうか。年金、子育て、医療、介護などの充実で不安が少しでも解消されれば、可処分所得がふえる。それを消費に振り向けるということは、当然可能になってまいります。
第4は、消費税の問題です。来年4月には8%、再来年10月には10%ということで、法律上は決まっておりますけれども、附帯決議というようなものもあるわけでして、今、この景気回復ということで取り組んでいる、ここに消費税がもし予定どおり実施されるということになれば、これはもう、今までの対策は水の泡ということにもなりかねない。あとの事態は、惨たんたる状態が予測されると言ってもいいのではないでしょうか。
それでは財源はどうするんだという話になるわけですけれども、無駄遣いの洗い出しを徹底して、富裕層や、先ほど申し上げましたように、260兆円もの利益をため込む、こういうところに、もうけに応じた応分の負担ということでやっていただければ、財源は十分確保できることになるのではないでしょうか。
また、今提案されております、市の施設の使用料、大変多くの施設で一斉値上げというようなことが提案されておりますけれども、これもやはり市民の負担がまたふえることになりますし、可処分所得を減らすということにもつながりますし、当然、地域経済にもまた影響を与えてくるということがあるわけでありますから、これを今やるべきではないと私は強く申し上げる次第であります。
そこで、質問をいたします。
個人消費の拡大をどう図るか、これが重要でありますけれども、こういう観点で今進められようとしているこの政府の経済対策について、市としてはどのように考えているか、受けとめているか、示していただきたいと思います。
次に、今、佐野議員の質問の中にもありました、良好な商業環境の形成に関する条例について、これはせっかくつくるならば、やっぱり実効あるものにしていくことが必要だと思うんですが、これまで政府による規制緩和策で、大型店の出店というのが、言ってみれば自由と、届け出のみというようなことになっております。この影響で、市内にある小規模スーパーの多くが閉店を余儀なくされるという例は少なくありません。
このような背景を受けて、大型店の静岡市内への出店は、既にほぼ再編されたと言ってもいいのではないか。そういう点から言えば、今の時期にこの条例制定、ちょっと遅きに失したんではないかということも私は感じるわけです。しかし、今後も地域の中小の小売店舗に多大な影響を与えるという点からすれば、これを実効あるものにしていくことがどうしても必要だ、このように考えるわけです。
そこで、質問でありますけれども、まず第1に、この今の時期に条例を提案するその理由、あるいは提案に至った経緯という点についてお答えいただきたいと思います。
次に、小売販売業の現状をどのようにとらえておられるのか、この点についてもお聞きします。
出店予定の業者に対して、指導、助言、勧告というようなことができると条例にうたっております。その対象は、1,000平米を超える商業施設だと言っておりますけれども、この1,000平米というのはどういう根拠から出たものなのか、その理由は何か、お示しいただきたいと思います。
次に、スーパーもちづきの倒産ということで、皆さんもニュースを聞いて驚かれたと思います。市内では老舗スーパーの1つでありました。店舗数は十数店舗ということでありまして、市民にも親しまれていたと思います。経済活動は自由競争ではありますが、従業員が寒空に放り出されるというようなこと、あるいは納入業者の債権がしっかりと保証されているかなど、行政としてもやっぱり対応していく必要があったのではないかと思います。
そこで質問ですが、今回の倒産について、その原因をどのように把握されておられるのか。
2番目は、従業員の雇用をしっかり継続されているのかどうなのか、この辺についてもお示しを願いたいと思います。
2つ目は、道路行政についてであります。
中央自動車道の笹子トンネルの崩落事故にかかわって、今後どのような観点で進めるべきか伺いたいと思います。
そこで、質問でありますけれども、この笹子トンネルの崩落事故を受けての教訓と課題をどのように考えておられるのか、お聞きいたします。
1回目であります。

◯副市長(山本克也君) 道路行政に関して、笹子トンネルの事故を受けての教訓と課題についてお答えいたします。
本市には、高度成長期に建設され、長期にわたり供用している道路が多くあることから、本市といたしましても道路の維持補修の重要性を認識し、平成19年度、橋梁と舗装について、道路構造物健全化計画を策定し、取り組みを進めてきたところでございます。また、24年度には、新たに道路トンネル維持管理計画の策定を進めているところでございます。
そうした中、昨年12月に、9名もの死者を出す笹子トンネルの天井板崩落事故が発生いたしました。この事故の教訓でございますが、本市が日常的に行っているパトロールでは確認できない点があり、今まで以上に的確に状態を把握する必要性に気づかされたところであり、同時に、高齢化、老朽化対策の緊急性や重要性について改めて認識したところでございます。
今後の課題でございますが、本市では3,100キロメートルを超える道路を管理しており、橋梁やトンネルなど重要構造物を初め、舗装や照明灯など非常に多くの道路施設があることから、これらを管理していく上で、それぞれの施設に対する点検方法や頻度を見直した上で、計画的な補修を実施していくことが必要であると考えているところであります。
以上でございます。

◯経済局長(大場知明君) 地域経済活性化に関する6点の御質問にお答えいたします。
まず、政府の経済対策についてでございます。
政府の打ち出す経済対策は、日本経済再生に向けて、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の三本の矢で、長引く円高・デフレ不況から脱却し、雇用や所得の拡大を目指すとしております。その具体的な施策として、成長による富の創出を掲げ、日本経済の活力の源泉となる中小企業・小規模事業者対策等を積極的に展開することとしております。
国の施策が、国の内外を初めとし、本市域においても展開されることで、地域企業の設備投資や取引が促されまして、資金が循環することで地域経済が元気を取り戻していくと考えております。それにより、企業活動が活発化し、企業収益が向上した後に、個人の所得の増加がもたらされ、今後の消費が拡大するものと期待しております。
こうした認識のもと、新たなビジネスチャンスへのチャレンジ支援やクールジャパンの芽の発掘・連携推進など、国の施策を積極的に地域経済に取り込み、地域経済の成長につなげていくことが必要であると考えております。
次に、条例を今の時期に提案する理由及び経緯についてでございます。
本市では、人口減少や少子高齢化などの社会・経済情勢の変化を踏まえ、さらなる商業の活性化を図るため、平成21年度に商業都市しずおか戦略プロジェクトをスタートいたしました。プロジェクトにおいては、主に3つの点について分析、検討をしてまいりました。第1に、アンケート調査等による市民意向の把握と商業に関連した統計資料の分析、第2に、商業が市民生活、まちづくりにおいて果たすべき役割の明確化、第3に、望ましい商業の姿とそれに向けた取り組みの方向性を定めることです。本プロジェクトの成果として、平成23年には商業振興条例を制定、24年には商業振興基本計画を策定したところでございます。
今回提案する良好な商業の形成に関する条例は、これら商業振興条例と基本計画を受けまして制定しようとするもので、4年間の検討結果を踏まえ、本議会に上程することとなったものでございます。
次に、小売販売業の現状をどうとらえているかについてお答えいたします。
直近の調査である、平成19年に行われた国の商業統計調査の結果と平成3年の調査を比較しますと、本市の商業を取り巻く環境の変化の特徴には3点ございます。1点目は、年間商品販売額が約1割減少していること、2点目は、売り場面積が約3割増加していること、3点目は、事業者数が約3割減少していることです。
また、全国的な傾向として、コンビニエンスストアやドラッグストアなどが生鮮三品を取り扱うようになったほか、インターネット販売の増加など、業態が多様化し、小売販売業の競争が激化しております。このように小売販売業者は厳しい環境に置かれており、その傾向はなお続いているものと考えております。
次に、届け出の対象を1,000平米超えとした理由についてでございます。
大型商業施設について規定する法律としまして、大規模小売店舗立地法があります。この法律及び関係法令では、周辺地域の生活環境の保持の観点から、1,000平方メートルを超える店舗を大型店として規定しております。本条例案の検討におきましても、1,000平方メートルを超える大型店は、市民の皆さんの買い物環境へ与える影響が大きいものと考えられることから、届け出の対象といたしました。
次に、スーパーもちづきの倒産の原因についてでございますが、報道によりますと、長引くデフレや消費低迷の中で、近隣への同業他社の新規出店や異業種の進出などによる競争の激化がその背景にあるとされております。これにつきまして、市といたしましては、個別の事業者の倒産の原因を把握いたしておりません。
最後に、従業員の雇用の継続についてお答えいたします。
従業員の雇用の継続につきましては、ハローワーク静岡からの情報によりますと、スーパーもちづきが従業員に対して、事業を承継する会社へ移る希望があるかどうかの確認を行い、希望した従業員は採用されたと伺っております。なお、希望されず退職された方については、ハローワークで個別に職業相談・職業紹介を行っているとのことでございます。
以上でございます。
〔3番寺尾 昭君登壇〕

◯3番(寺尾 昭君) 個人消費の拡大をどう図るか、1回目の質問で雇用の問題についても取り上げました。先日発表されました、この春卒業予定の高校生、大学生の就職状況、これもまだ不十分だというニュースが先日もありました。卒業直前のこの時期になっても卒業後の進路が決定していないという人が多く残されているわけであります。失業率は今、全国的には4%ちょっとという数字になっておりますけれども、若者は常時その2倍の失業率ということになっております。失業率の高さは、結局、必然的に非正規労働を増大させるということになりますし、雇用の安定が個人消費の拡大に結びつくということは、これは疑いがないわけであります。雇用問題は国や県の役割などと言っているときではありません。市としても積極的な雇用対策を進めていく、そういう必要があると思います。
そこで質問ですけれども、就業機会の拡大について、今、市としてはどのような取り組みを行っているのか、お聞かせいただきたいと思います。
次に、良好な商業環境の形成に関する条例、今お答えをいただきましたけれども、商業活動をすべて自由競争に委ねていれば、結局、資本力の差で勝負がつくということになるわけです。今、スーパーもちづきのお話もありましたが、結局、競争の激化という中で、倒産を余儀なくされるという状況だというお話もありました。
中小経営の維持発展は、経営者の営業を守るだけにとどまらず、地域経済の振興という点をとってみても、あるいはまた買物弱者対策という点からしても、市民生活に大きな影響を及ぼすわけであります。規制緩和は、自由競争を促した反面、中小の商工業者にとっては大変厳しい結果をもたらしているという状況であります。
この条例の目的として、市民にとって安心して豊かな生活を送ることができる買い物環境及び市が目指すまちの姿にふさわしい良好な商業環境が形成されること、このようにうたっております。この目的が達成されるということが必要であります。
質問です。
私は、この条例により、場合によっては出店を差しとめることができるぐらいの強制力があってもよいと思っておりますけれども、そういう強制力が発揮できる、そういう余地はないのか。
次は、この条例に基づき指針を定めることになっております。どんな内容になるのか、あるいはその公表の時期はいつになるのか、お聞かせください。
次に、この条例の効果を占う基準は、市民にとっていかにメリットが生まれるか、こういうことだと思います。地域経済の活性化とどう結びつけるかという視点も重要でありますけれども、その観点から、小規模小売業の振興にこの条例をどうつなげていくのか、お考えをお聞かせください。
スーパーもちづきの倒産に関連してでありますけれども、市内にはまだ多くの中小スーパー、私の地元などでも頑張っているスーパーがあります。しかし、大型店がこれらの店舗の近隣に進出し、経営は大変厳しいというふうになっております。
質問でありますけれども、中小規模スーパーに対する支援策、どのようなことを考えておられるのかお聞かせください。
道路行政についてであります。
今回問題になったのは、トンネル内部の天井板の崩落ということであります。しかし、この道路施設というのは、道路本体、いわゆる橋梁本体だけではなくて、照明灯やガードレールや、縁石や橋桁や、崖崩れ防止柵や防護壁、案内表示板、カーブミラー、数え上げれば切りがないような、多岐にわたっているわけであります。
これらが安全に維持管理されなければならないわけであります。定期的な点検業務、計画的な維持・補修、こういうものが必要になっていくわけです。同時に、ただ補修すればよいというものではありません。当然、バリアフリーの観点、あるいは省エネや環境改善、さらには美観を備えるという観点においても寄与するものでなくてはなりません。
そういう点で、地域経済の振興という点からは、新設・改良に比べれば維持・補修では、地域の小規模の建設業者ができる仕事も多いと言えるのではないかと思います。地元発注をふやしていくことも可能になるわけであります。雇用の拡大にも結びつきます。これからの公共事業、維持・補修、メンテナンス、長寿命化、議論が今されているわけでありますけれども、こういう観点でぜひ進めていってほしいと考えるわけであります。
質問であります。
今後の道路行政を進めていく上で、新設・改良をやめるというわけには当然いかないわけですけれども、維持・補修にシフトしていくということが、これは必然的な方法ではないかと思いますが、ここをどう調和させていく考えか。そしてまた、維持・補修をどのように進めていくお考えか、この点についてもお聞かせください。

◯議長(石上顕太郎君) 発言はあと1分で終了してください。

◯3番(寺尾 昭君)(続) 若干要望を申し上げます。
きのうもレンタサイクル事業ということでお話がされております。自転車道の整備の話もきのうありましたけれども、私は、観光地に今、駐輪場が非常に不足をしている。レンタサイクルといっても、結局、好きなところへとめてしまうというような話になりますので、やはりこのレンタサイクル事業を進めていくのとあわせて、ぜひ観光地への駐輪場の整備、この点についてもぜひ進めていっていただきたいということをお願いしまして、私の質問といたします。

◯経済局長(大場知明君) 地域経済活性化に関する5点の御質問にお答えいたします。
まず、就労機会の拡大についてでございます。
本市を支える中小企業の活力を高めるためには、若い人材を確保することが何よりも大切であると考えております。こうしたことから、本市といたしましては、高校生、大学生等の若者に対する就職支援に特に力を入れております。
まず、高校生に対しましては、職場見学会やインターンシップ事業を実施しまして、高校生の職業意識の醸成を図るとともに、ハローワークと連携して、市内企業と高校就職担当者との情報交換会を開催しております。また、大学生等に対しましては、ハローワーク及び商工会議所と連携いたしまして、市内企業と県内外の大学就職担当者との情報交換会を開催しております。
こうした従来の就職支援に加えまして、就職活動における中小企業と大企業の、大学生に対する情報発信力の格差を解消するため、平成24年度よりフェイスブックを活用した中小企業人材マッチング支援事業に取り組んでおります。それに加えまして、就職活動前の学生に中小企業を理解してもらうため、企業と学生の縁結び事業を実施しております。さらに、平成25年度には、職場体験や企業見学を通して学生目線で作成した企業情報をインターネットで発信する、中小企業魅力発見事業を新たに実施いたします。
次に、出店をとめるための強制力についてでございます。
良好な商業環境の形成に関する条例では、大型商業施設が出店するなどの場合につきまして、その構想が市の目指すまちの姿にふさわしいものとなるように、指針に基づき指導、助言、勧告を行います。これは、都市計画法の開発許可などの許認可制度とは異なり、強制力を持つものではありません。残念ながら勧告に従っていただけない場合には、当該事業者名などを公表いたします。
この条例は、核家族化や高齢化社会に伴う消費活動の変化に対応するため、市民、事業者、本市の3者が協働で、目指すまちの姿を実現していくものでございます。出店される事業者の方にも、目的を御理解いただき、御協力をいただけるよう要請してまいります。
次に、指針の内容とその公表時期についてでございます。
静岡市良好な商業環境の形成に関する指針は、良好な商業環境の形成を図るため、本市のまちづくりにおける商業施設の望ましい立地について定めるものでございます。
指針の内容といたしましては、主に3点に分かれます。1点目は、都心部においては、求心力の高い都心商業を形成し、居住を主体とする地域におきましては、徒歩や自転車で買い物ができる環境の形成を図るという、目指すまちの姿を示すこと。2点目は、目指すまちの姿を踏まえ、ゾーンごとに、小売業を行うための店舗の面積の目安を定めること。3点目は、自動車での買い物が想定される一定規模以上の店舗は、幹線道路沿線に集積が図られるよう別途面積の目安を定めるというものでございます。
指針につきましては、良好な商業環境の形成に関する条例案とともに議会におきまして説明させていただき、議決後、速やかに公表し、関係事業者等に対しまして主に4つの方法で周知してまいります。1つ目はパンフレットの作成と配布、2つ目は市広報紙への掲載、3つ目は市ホームページへの掲載、4つ目は商工会議所等を通じた説明でございます。本制度の運用には事業者の皆さんの御協力が必要不可欠なことから、十分な周知が図られるよう努めてまいります。
次に、小規模小売業の振興にどうつなげるかということでございます。
今回提案いたしました条例は、市民にとって安心して豊かな生活を送ることができる商業環境の形成を図ることを目指すものでありまして、小規模小売業の振興につきましては、商業振興基本計画に掲載されている他の施策によって推進していきたいと考えております。
商業振興基本計画には、重点的に取り組む施策として、個店支援の推進を掲げております。その施策の1つとして、平成24年度より、静岡県立大学経営情報学部の岩崎教授と連携し、個店に大学生を派遣しマーケティングなどの支援を行う、大学生によるお店コンサルティング事業を始めたところでございます。また、静岡県事業引継ぎ支援センターと連携し、個店の事業承継の支援を行うなど、活力の維持に向けて支援を進めていきたいと考えております。
最後に、中規模スーパーに対する支援策についてお答えいたします。
中小規模スーパーに対する支援策といたしましては、企業の経営力強化を図るため、商工会議所等による相談やセミナーなどのほか、金融機関による資金面の協力や経営指導など、民間での取り組みがなされております。
本市においては、中小規模スーパーが利用できる主な支援施策は2つあります。1つ目は中小企業融資制度、2つ目は中小企業支援センターの無料相談と専門家派遣でございます。本市の支援策は、一部の中小規模スーパーにおいて既に活用いただいております。今後も、商工会議所や地域の金融機関等と連携いたしまして、市内中小企業の経営健全化や経営力向上を支援してまいります。
以上でございます。

◯建設局長(長谷川 篤君) 道路行政について、2点の御質問にお答えします。
まず1点目、新設・改良と維持・補修をどう調和させるかという御質問です。
本市におきましても高度経済成長期に多くの道路施設が建設され、完成から50年が経過しています。したがって、高齢化・老朽化対策など適切な維持・管理は、喫緊の課題となっています。一方、新東名高速道路や平成29年度供用を目指して建設中の中部横断自動車道を生かした地域の活性化や、巨大地震に備えた防災機能の強化も喫緊の課題です。
それには、高速道路へのアクセス道路の新設・改良は必要不可欠であり、中山間地域・オクシズにおける狭隘区間などの道路整備にも取り組んでいく必要があります。
限られた予算の中での両立は難しい課題ではありますが、市民の安心・安全な暮らしの実現に向け、維持・補修の取り組みに力を入れていくとともに、新設改良につきましても、選択と集中を図り、調和させていく必要があると考えております。また、実施に当たりましては、現在、国において検討中である新たな交付金制度の動向を注視し、積極的に活用していきたいと考えております。
次に、2点目の今後どのように維持・補修に取り組むのかという御質問です。
市民の皆さんが安心・安全に道路を利用していただくために、これまで橋梁と舗装を対象とした土木構造物健全化計画──いわゆるアセットマネジメントです──を策定し、点検に基づく予防保全的な考えのもと、長寿命化対策など施設の適正な維持・管理に努めております。
一方で、トンネルや照明灯などの道路施設については、従来からの対症療法的な対応が続いている状況であります。今後は、維持・補修や更新に係る事業費が増大することが懸念されるとともに、膨大な数の道路施設の管理手法の見直しについても大きな課題となっております。
このため、健全化計画のない道路施設につきましても、施設ごとの特性に合わせた維持管理計画を早期に策定し、点検を重視した計画的な維持・補修を行っていきたいと考えております。
以上でございます。