静岡市職員の給与に関する条例の一部改正についての質疑

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160◯3番(寺尾 昭君) 議案第152号静岡市職員の給与に関する条例の一部改正についての質疑を行います。

静岡市人事委員会は、御承知のとおり9月21日、市議会議長と市長に対して、職員の給与等に関する報告及び勧告を行いました。人事院や多くの政令市において、今年度の給与は現状維持ということを勧告しております。本市においては、異例と言えると思いますが、引き下げを勧告いたしました。

内容は、職員給与が1,125円、0.28%、民間企業従業員の給与を上回っているということで、その分の引き下げを求めるという内容になっております。

そこで、最初にこの勧告を行いました人事委員会に質問いたします。

まず、調査対象であります民間企業の数です。市の人事委員会の調査は、113事業所、5,337人を対象にしております。人事院は、調査対象を約1万1,100事業所の約47万人を対象にしているわけであります。その差は100倍近い数値になるわけです。そして、その結果、市人事委員会は、公民格差が0.28%あるということで報告をしておりますが、人事院は民間企業従事者との公民格差は273円、0.07%としております。これに基づき、今回の給与改定で静岡市は引き下げ提案、国家公務員は据え置きということになっているわけです。国、静岡市とも、その較差がコンマ以下ということであり、極めて微妙な差だということです。

しかし、職員にとっては、一方は切り下げ、一方は据え置きということですので、ここでは大きな差が出てくるわけであります。不利益が生ずるということになっているわけです。

そこで、まず人事院に比べ静岡市の場合は民間の調査対象者数が著しく少ない、この正確度という点でどうか、この点をお聞きいたします。

次に、人事委員会は、中立の第三者機関ということで設置をされているわけであります。しかし、一方で、公務員が労働基本権を制限されているもとで、その代償機関としての役割を持っているわけであります。そこがほかの行政委員会、審議会などと基本的に異なる点だと言えると思います。

そこで、職員の労働基本権の代償機関としての人事委員会の存在意義は何か、改めてお伺いいたします。

次に、地方公務員法第24条第3項では、職員の給与について物価や生計費や国、他の地方公共団体等々、事情を考慮して決めるんだということを規定しております。

本年の勧告でも、医師の給与については、処遇を確保するために、これを引き下げをしないことが適当であるとしております。

ここは、今申しました地方公務員法第24条第3項の規定とのかかわりで、どのように整合性をとっているか、考えているかということをお聞きいたします。

次に、改定の実施時期であります。報告では、本年の改定は、職員の給与水準を引き下げる内容であるため、遡及することなく云々という表現をしておりますが、あわせて、本年4月から所要の調整を行うことが必要。つまり遡及は行わないけれども、調整は必要だという、実質遡及を認めるという矛盾した内容になっていると言えるかと思います。言ってみれば、不利益不遡及というのが法の原則でありますけれども、この原則に反するのではないかということであります。

そこで、伺いますのは、この措置は、4月にさかのぼって給与を返上せよという不利益を遡及するものであり、この原則を侵すものではないかと思いますが、どのようにお考えか、お聞きします。

連年にわたる給与削減は、公務員という職業の魅力を低下させることにつながり、心配になります。もちろん公務員を志望する若者は、給与水準だけでなく、公務の仕事にやりがいを感ずる、こういうことで応募してくることも多いと思われます。しかし、公務員を選択するということは、その大きな要素として給与水準という問題があることは、これは疑いないわけです。

そこで、お伺いいたしますが、連年のマイナス給与改定により、人材確保という点で影響があるのではないかと思われますが、この点についてどのようにお考えか、まず1回目、以上5点をお伺いいたします。

 

 

◯人事委員会事務局長(海野顕司君) それでは、本年度の勧告関係での御質問にお答えいたします。

まず、1点目として、人事委員会及び人事院双方の勧告における調査対象人数の違いと、正確度のお話でございます。

人事委員会勧告を行うに当たっては、対象となる本市職員3,800人程度に対して、例年5,000人程度の市内の民間事業所の個人給与を調査しておりますので、比較には十分な数であると考えております。

なお、人事院勧告は、対象となる職員の数、勤務地の広範さから、調査対象としている民間事業所の数も多く、本市とは状況が違うため、一概に比較することはできないと考えております。

次に、職員の労働基本権制約下での代償機関たる人事委員会の存在意義でございますが、人事委員会の存在意義は、労働基本権の制約を受けている地方公務員に対し、中立公正な第三者機関として、給与勧告などを通じ、職員の経済的権利や身分上の権利など、その利益保護を図る役割を果たすことにございます。

3点目です。本年の勧告での医師のマイナス改定の見送りと、地方公務員法の規定とのかかわりでございます。

地方公務員法第24条第3項、いわゆる均衡の原則と呼ばれておりますが、ここでは、「職員の給与は、生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定められなければならない」とされております。このその他の事情には、地域における経済事情や職員採用の難しさなどが考慮の対象となると考えられ、医師については、その人材確保が困難であるという事情を考慮し、本年度の人事委員会勧告において、マイナスの給与改定をしないことが適当であるとしたところでございます。

4点目です。引き下げ改定について4月から所要の調整を行うということと、不利益不遡及の原則との関係でございます。

給与勧告は、民間と公務の4月時点の給与を比較し均衡を図ることを目的としております。所要の調整とは、その趣旨を実現するために行うものであり、不利益不遡及の原則に反しないと考えます。

最後に、連年のマイナスの給与改定と人材確保との影響でございます。

人材確保への影響を大学卒区分の事務職で見てみますと、最終合格者数における倍率は、本年度が11.6倍、昨年度が9倍、一昨年度が10.9倍となっておりまして、マイナスの給与改定による採用試験申し込み者への影響はないものと考えております。

〔3番寺尾 昭君登壇〕

 

 

◯3番(寺尾 昭君) 2回目は、任命権者である人事当局にお伺いいたします。

市による市民へのサービスは、さまざまな形があるわけであります。公務の特徴として、そのほとんどのサービスは職員によって提供されるということであります。職員のモチベーションが、市民に対するサービス提供に影響するということが言えると思います。職員が公務に専念できる環境を整備することが、その保障になるわけであります。本年を含め、10数年にわたりまして給与が削減し続けられているということで、その金額も年間で70万円以上になるのではないかと言われております。

そこで、質問でありますけれども、この連年の給与低下と職員への士気、この影響をどのように考えているかを伺いまして、私の質問といたします。

 

 

◯総務局長(小長谷重之君) ここ数年の引き下げ改定による職員の士気への御懸念でありますけども、ワーク・ライフ・バランスを推進するなど、職員の仕事のしやすい環境を整備するとともに、改めて全体の奉仕者としての責任感や仕事に対するやりがいを感じてもらうことによりまして、職員士気の向上を図っていきたいと考えております。