消費税増税法案等に関する意見書と大飯原子力発電所3号機、4号機の再稼働に関する意見書の提案説明

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151◯4番(鈴木節子君) 私は、日本共産党議員団を代表し、2つの意見書案について、提案理由を述べさせていただきます。

まず、消費税増税法案等に関する意見書についてです。

この法案は、民主・自民・公明の3党の密室での談合で修正された内容が、まともな審議もせず衆議院で採決が強行されました。議会制民主主義に反する暴挙であり、断じて許すことはできません。衆議院は通過しましたが、参議院での論戦はこれからが正念場です。徹底した審議が求められています。

衆議院の審議を通じて、消費税増税に道理も大義もないことが、いよいよ明確になりました。

第1に、民意に背くことです。衆議院通過後も各世論調査では、消費税増税法案に反対とどちらかと言えば反対、これが5、6割を占め、今国会で成立することを望まないという声も6割を占めています。反対の声は日増しに高まり、その声は揺らいではいません。4年間は上げないと言って選挙した民主党の公約にも背くものです。

第2に、社会保障のためという口実は、衆議院の審議と民自公の修正の中で完全に崩壊したことです。野田政権が持ち出した社会保障との一体改革は、もともと年金の減額など社会保障の改悪と一体でしたが、修正によって新たに提出された社会保障制度改革推進法案は、国の公的責任を後退させ、年金にも医療・介護にも効率化、重点化を押しつけるものです。また、高齢者医療制度の廃止は事実上断念し、増税やむなしの口実に高齢者を狙い撃ちにしていることは、国民に対する裏切りと言わざるを得ません。

加えて、社会保障制度改革推進法案は、人間らしく生きる権利とその実現のために国の責任を明記した憲法25条を真っ向から否定するものです。修正によって、公共事業にも振り向けられることは、社会保障にすべて使うと言ってきたこととも矛盾します。

第3に、消費税増税が日本経済に及ぼす重大な影響です。増税だけで年間13兆円とあわせ、年金削減、医療の負担増など年間20兆円という、これまでにない負担増が押しつけられ、日本経済の6割を占める個人消費と日本の雇用の7割を占める中小企業に大打撃を与え、日本経済をどん底に突き落とすことは明白です。

また、所得の低い人ほど負担の重い逆進性があること、中小企業など税率を価格に転換できず、身銭を切らざるを得ない実態があることなど、消費税が最悪の欠陥税制であることを政府自身が認めていながら、具体策は何ら示されていません。さらに、消費税の増税で景気が落ち込み、税収が減り、財政再建にも逆行するものです。

以上、問題点を挙げましたが、消費税増税法案は、公約違反であると同時に、消費税と社会保障という国の根幹にかかわる重要な法案です。国の方向を決めるのは、主権者である国民の意思です。衆議院では可決しましたが、国民の中では少数派であることは明白です。今、国会で成立を急ぐことなく、徹底した審議で国民世論を反映させたものにすべきです。

我が日本共産党としては、廃案を目指し、徹底して論戦をしていく所存でございます。

続いて、大飯原子力発電所3号機、4号機の再稼働に関する意見書案について述べます。

野田政権が大飯原発再稼働を決め、運転再開の作業を始めました。この後、1カ月ほどの調整運転の後、経済産業省の許可を受けて本格的に運転再開を目指していますが、原発再稼働に反対する世論を真っ向から踏みにじる行為です。野田首相は、福島を襲ったような地震津波が起こっても事故は防止できるなどと言いますが、福島原発事故の原因究明も尽くさず、収束もできていません。肝心の大飯原発をどのような地震、津波が襲うか解明もできておらず、いまだに安全神話から脱却できていません。

政府は、原発再稼働のためにストレステストを行わせたり、当座の安全対策を指示しましたが、大飯原発の事故対策である免震事務所棟の建設や防波堤の整備でさえ何年も先で、それまで大きな地震や津波が起きない保証はありません。

また、夏の電力不足を挙げて、国民を守ると言いますが、国民の命、財産にかかわる安全の問題と電力確保の問題をてんびんにかけること自体許されることではありません。政府が、原発は重要な電源であり今後も運転を続けると踏み込んだことは、将来にわたり原発に固執する財界の圧力に屈した姿勢のあらわれです。

今、再稼働を中止せよ、原発から撤退をの叫びが、首相官邸前だけでなく大阪など全国に広がり、空前の広がりを見せています。毎週金曜日の夜、勤め帰りの人や主婦、若者らがツイッターの呼びかけで集まり、普通の市民が街頭に出て声を上げ始め、規模も最初は数百人だったものが、今では20万人にまで達しています。皆さんの声は、もう黙ってはいられない、自分も何かしたい、こういう声で渦巻いています。こうした動きは、安保闘争以来の歴史的出来事となり、原発なくせの戦いは新しい発展段階に入っています。

福島原発事故から1年3カ月以上たち、今でも放射能汚染に苦しむ福島県内の自治体からは、意見書可決が相次いでいます。

6月29日に可決した郡山市議会の意見書を紹介します。

安全性より経済性を優先し、国民生活を守るとの理由で原発の再稼働に向けた論議が拙速に進められ、暫定的安全対策をもって関西電力大飯原発の再稼働を強行しようとしている政府の姿勢に強く反対すると述べています。

以上のように、福島原発事故が日本社会に深刻な影響を与え続けているもとでの再稼働は、国民の理解は到底得られず、国民の声と大きくかけ離れてしまっています。今必要な判断は、原発の安全性の徹底的確保とエネルギー政策の抜本的転換、再生エネルギーの利用拡大の推進のためのあらゆる施策を講じることです。そのためにも、大飯原発再稼働を中止することを強く求めます。

以上、2つの意見書案は、今後の日本のありように大きくかかわる内容です。ぜひ全議員の皆さんが賛同されますよう心から訴えまして、趣旨説明といたします。