駿河区の地震、津波対策、区役所の権限強化、災害と危機管理に対応する職員体制について質問

カテゴリー:

111◯3番(寺尾 昭君) 被災者の皆さんの一日も早い復旧、復興を念じつつ、以下質問をいたします。

私たち共産党議員団も5月に宮城県の亘理町というところにイチゴ農家の救援活動ということで行ってまいりました。これから収穫という時期にイチゴが全滅をするということで、借金のみが残ったと、こういうことでありました。私たちも汗をかいて泥かきをしてまいりましたけれども、失望の中にも喜びの顔ということをうかがい見ることができたわけでございます。

東日本大震災は地震による大きな揺れ、東北沿岸を襲った巨大な津波、未曾有の大災害をもたらしたわけです。加えて、福島第一原発の事故による放射能漏れが、大震災からの復旧、復興を一層困難、複雑にしています。想定外という言葉も聞きましたが、それで済ますということは許されないことであります。

私たち静岡における地震防災対策に、大きな教訓を与えたというふうに言えると思います。この教訓を生かすことが、多大な犠牲をこうむった被災者に報いることであります。

地震防災については、大きく2つに分けて考えることが必要だと思うんです。第1は、地震が来ることはこれは防げないということですが、いかにして被害を最小限に食いとめるか。

そして第2は、被害に見舞われたときに、いかにして早く復旧、復興を果たすか。この立場から私はこの静岡市における防災対策の強化について質問をいたします。

その第1は、地震津波対策の抜本的強化に向けての課題です。

私たち共産党議員団は、先日、静岡海岸と、駿河区で指定されている津波避難ビルを見てきました。市長も行かれたということでありますけれども、海岸の防潮堤は確かにしっかり建設をされております。津波想定は場所により異なっているようですけれども、6メートルから7メートルということで設計をされている。この想定で十分かどうか、管理している県の検討が待たれるわけであります。

しかし、場所によって海岸の、ちょっと見てきたんですけれども、養浜事業ということだと思うんですけれども、砂がうずたかく海岸に積まれているんですね。つまり防潮堤の高さがそのことによって、結局実質的に低くなっているというような状況があります。ですから、津波が来たときにはこの防潮堤を軽く越えていってしまうというようなところもあったわけであります。

指定されている避難ビルは、今までもお話がありましたように、駿河区では4カ所ということになっております。海岸のすぐ近くにあって、海岸に向かって避難をしなければならないという、そういう状況もあるということです。

また、屋上に逃げるというところにかぎがかかっているというような場所も実はありました。そこで、これまでも避難ビルの関係、いろいろ質問がありましたけれども、現状と対策ということについて改めてお聞きいたします。

地震対策の第1は、まず建物の倒壊を防ぐということが大事だというふうに言われております。木造住宅の耐震補強ということで、先ほど来質問もあるわけですが、今まで県の助成に対して市が上乗せということでやってまいりました。

昨年末、御承知のように、議会でも意見書を採択していただいたわけですけれども、国の上乗せの助成ということで、これが単年度限りという残念な状況になっております。ぜひ継続してもらいたいというふうに思っておるわけです。

本市においては、これまで学校や保育園など、公共的な建物の耐震化は進んでいるわけでありますけれども、昭和56年以前の木造住宅の耐震補強助成はその対象物件数と比べて、先ほどお話がありましたけれども、必ずしも十分ではないのではないかというふうに思います。木造住宅の耐震対策が必要な件数、そして耐震補強助成の進捗の状況、また昨年度、国の上乗せということで補助を行ったわけですけれども、その補助の実績はどうであったのかということを改めてお聞きします。

3つ目は、津波避難場所の検証などについても行ったということでありますので、結果をお答えいただきたいと思います。

次に、町内会自治会を単位とした自主防災組織、私も実は地元では防災班長ということになっているわけですけれども、自衛消防隊、あるいは各地にあります消防の分団などとも連携をとって、日常の防災訓練など、地域の防災活動をリードしております。

それだけに、災害時には地域において第一義的な役割を果たしていただけると期待されておりますけれども、しかし、なかなか若い方の参加が最近少ないだとか、参加者の顔ぶれがなかなか新しい顔ぶれにならないなど、悩みも寄せられているわけです。

自主防災組織の現状をどのように把握をされているのか、また問題点などはどのようなことがあるのか、お聞かせください。

次に、高齢者、障害者、要介護者などの被災、そして避難ということの問題です。

今度の大震災でもさまざまな例が報道されております。それだけにこの方々の避難対策をどうするのか、非常に重要だと思うんです。地域においても実は個人情報保護というふうなことがありまして、なかなかどういう方が自分たちの町内に、いわゆる要援護者として住んでいらっしゃるのかというようなことがわからないというような場合も少なくないんです。

そこで、お聞きしますが、要援護者のいる地区における現状と取り組みにかかわりまして、津波避難地区における施設入所者対策、これがどうなっているのかという点、次に、要援護者と言われる方々をどのように把握をしていったらいいのか、それをどう周知をさせていくのか、この点についてもお聞かせ願いたいと思います。

そしてまた、今後、地域防災計画の見直し、これも今話があるわけですけれども、どう進めるのか、お聞かせ願いたいと思います。

以上、1回目です。

 

 

◯危機管理統括監(望月俊春君) 防災対策強化に関する質問にお答えいたします。

最初に、駿河区における津波避難ビルの現状と対策についてでございます。

駿河区におきましては、公共施設では中島浄化センター、用宗老人福祉センター、民間施設では用宗駅前の大三ビル、下川原南の静岡徳洲会病院の計4カ所を津波避難ビルとして指定しております。

今後、新たに学校、公営住宅のほか、地元自治会の皆様が推薦する民間ビル等を指定し、駿河区沿岸地域における避難場所の確保に努めてまいります。

次に、自主防災組織の現状と問題点についてでございます。

現在、自主防災組織は、単位自治会をもとに市内約1,000団体の組織により編成されております。これら自主防災組織への活動支援として、防災用資機材購入に対する補助制度、防災に関する知識や技術の習得のための防災技能者講習会、防災講演会の開催、さらには地域で実施される訓練に対しての支援など、自主防災組織の強化に努めております。

しかしながら、組織構成員の高齢化や減少により、自主防災組織が維持できなくなっている地域などもあり、地域の防災力に差が生じている状況でございます。

次に、地域防災計画の見直しについてでございます。

現在、国、県で新たに検討されている被害想定や防災計画の見直し、さらには被災地から得た教訓などを含め、本市の地域防災計画の見直しに的確に反映していきたいと考えております。

以上でございます。

 

 

◯都市局長(杉浦 進君) 耐震対策が必要な木造住宅の数、それから耐震化の進捗状況、それと昨年行いました上乗せ助成の実績ということでお答えいたします。

昭和56年以前に建築され、耐震性が低く、耐震補強、建てかえなどが必要な木造住宅は、平成20年10月時点で4万8,000戸でございました。

耐震補強助成事業は、14年度から始め、22年度末までに市が助成を行った実績につきましては、今年度への繰越分も含め2,903件であります。昨年度は国の緊急総合経済対策による30万円の上乗せ助成制度を受けまして、11月補正により予算を確保し、200件の追加募集を行いました。

募集期間が短かった中、事前よりPRを行いました効果がありまして、予定件数の200件をすべて受け付けいたしました。

今後も静岡市耐震改修促進計画に基づき、27年度末の住宅耐震化率90%の目標が達成できるよう、耐震対策事業を推進してまいります。

以上でございます。

 

 

◯保健福祉子ども局長(酒井康之君) 要援護者に関します2点の御質問にお答えいたします。

最初に、津波避難地区における施設入所対策についてでございますが、各施設ではそれぞれの施設の立地条件、利用者の特性、発生時間などに応じ、災害対応マニュアルを作成しており、施設独自の訓練を実施するほか、県下一斉の防災訓練や市総合防災訓練にも毎年参加をいただいております。

本市では、今回の震災を受けまして、改めて市が所有する施設に対し、去る5月21日に実施されました津波避難訓練への参加及び実施報告書の提出を求めるとともに、民間の施設に対しましても訓練への参加をお願いをしたところです。

実施報告書では、地域住民との連携が必要であるとの意見、課題を把握したところであります。

また、福祉施設などへのさらに幅広い対策を検討するため、清水区で実施をしている福祉関係者を対象とした地震・津波被害への防災対策に係る意見交換会に関係職員が参加するほか、駿河区の津波避難地区にあります同様の施設、事業所などを対象に、津波被害への防災対策に係る意見交換会を実施しているところであります。

これらの会議で出されました意見を参考にしながら、津波避難地区における施設入所対策をさらに充実をしていきたいというふうに考えております。

次に、要援護者の把握についてでございますが、地域の中で日ごろから要援護者を支え合うことで、災害時の安否確認、避難誘導等の支援体制を確立するため、昨年11月に静岡市災害時要援護者避難支援プランを策定いたしました。

要援護者の把握に当たりましては、個人情報保護の観点から、要援護者本人から個人情報の提供に関する同意を得て名簿などを作成し、地域の自主防災組織及び民生委員児童委員協議会に提供していくことを考えております。

今年度は、秋ごろを目途に障害のある方などへの同意確認調査を実施した後、同意を得られた方の名簿などを作成し、年度内に自主防災組織へ提供していきたいと考えております。

以上です。

〔3番寺尾 昭君登壇〕

 

 

◯3番(寺尾 昭君) それでは、2回目ですけれども、まず最初に都市局長からお話がありました木造住宅の耐震、大変人気が高いということでありますので、これはぜひ引き続いて御努力を願いたいというふうに思います。

災害予防と発生に対する行政としての即応体制をどう整備していくか。住民に最も近い存在であります区役所がその役割を果たすということ、これが必要じゃないかというふうに考えるわけです。

先ほど内田議員の質問の中で、区役所の防災の担当の職員が引き抜かれているというような話もあったわけですけれども、これは結局は区役所の体制を弱くすることにつながっているんではないかというふうに思います。

そこで、区役所の防災体制強化という点から質問をいたしますが、防災面から見て、区本部の役割と現状はどのようになっているのか、お聞かせください。

次に、区の防災体制を今後どのように強化していくのか。引き抜きなどはしないということが当然ではありますけれども、その考え方。

3つ目は、区長が防災体制に関する権限、どういう権限を持つのかということ、これが非常に重要だというふうに思うんですけれども、まず3つの点をお聞かせ願いたいと思います。

次に、防災体制に即応できる職員体制の整備についてお伺いをいたします。

市長のマニフェストを見ていただきますと、先ほど来、話がありましたように、320人の職員を削減すると20億円節約というお話があるわけですけれども、初めに削減ありきということでは決してあってはいけないというふうに私は思うんですね。

つまり、市長のいわゆる現場主義という立場からしても、やはり職場をきちっと把握をしていただくということが大事だと思いますし、そういう点では職員の意見を聞いていただく、あるいは職員労働組合との話し合いもやっぱりしっかりやっていただくということが必要だというふうに思うんです。そういう点で、市長にも御努力をいただきたいというふうに思います。

いずれにしても、この日常的な職員体制をしっかり確立するということは、いざ災害というときにこれが物を言うということにつながるわけでありますから、災害時に備えるという点でも職員体制をしっかり整えておくということをお願いをしたいと思います。

そこで質問でありますけれども、東日本大震災、先ほど来、話がありましたけれども、復旧支援で果たした市職員の役割、また状況はどうなっているのか、静岡市における防災対策の強化という点についても、どう考えているのか、この点をお聞かせいただきたいと思います。

また、東日本大震災の発生を受けて、定員管理というお話があるわけですけれども、定員管理上の防災に対する職員配置、これも見直しが必要ではないかというふうに思っておりますが、その点についてどう考えていらっしゃるのか、地域防災計画の見直しについての答弁も先ほどありましたが、浜岡原発の問題もあります。今後の地域防災計画の中にも、原発対策というようなことも含めるべきではないかということの要望を申し上げまして、質問を終わります。

 

 

◯危機管理統括監(望月俊春君) 区役所の役割強化に関する質問のほか、何点かの質問にお答えいたします。

最初に、防災面から見た区本部の役割と現状についてでございます。

各区の災害対策本部は、区役所に勤務する職員を充てており、それぞれの区内に開設される地区支部との情報の収集や伝達、活動の統括、市災害対策本部への要請などさまざまな役割を担っております。

続きまして、区の防災体制強化の考え方でございます。

災害発生時には、一刻も早く地域の被害状況を収集し、対策を講ずることが重要であり、区本部、地区支部、地域間における円滑な連携が求められます。

そのため、全庁的な職員配備の見直しや災害時の区本部業務の見直し、区本部と地区支部の災害時のあり方などについて検討してまいります。

次に、区長の防災体制に関する権限の強化に向けての御質問です。

今回の東日本大震災の教訓から、区長には最前線で職員を指揮し、迅速な対応を行うための役割の見直しが必要と考えます。

今後、地域防災計画を見直す中で、災害時における区長の権限について協議してまいりたいと考えております。

次に、被災地に対する市職員による復旧支援の内容についてでございます。

災害発生後、市職員はさまざまな分野で支援活動に従事しております。

これまで消防局による緊急消防援助隊を初め、給水車による応急給水活動、避難所の運営支援、保健師の派遣等を行い、現在も災害廃棄物の処理支援、被害認定調査の支援を行っております。

なお、現在までに約800名の職員を派遣しておるところでございます。

以上でございます。

 

 

◯経営管理局長(小長谷重之君) 震災等に対応するための職員配置の見直しについてお答えをさせていただきます。

現在の定員管理計画は、平成22年度から26年度までの5年間を計画期間としており、今後も着実な推進に努めていかなければならないものと考えております。

一方で、今回の東日本大震災の対応や市長マニフェストにある市民の安心・安全の確保という観点からも、防災に対する職員配置について、今後必要となる場合には適正な対応を図ってまいりたいと考えております。

以上でございます。