国民健康保険料の賦課限度額引き上げ条例改正専決処分の反対討論

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110◯4番(鈴木節子君) 私は、日本共産党市議団を代表し、議案第102号国民健康保険料の賦課限度額引き上げの条例改正の専決処分について、反対の立場で討論いたします。

反対理由の第1は、負担増を国の方針の先取りで強行することです。

今、先行きの見えない景気のどん底の中、国保料が高過ぎる、暮らしの展望が見えないという声が日に日に増大し、滞納は4世帯に1世帯、全市で3万世帯に及んでいます。このように国保制度が根底から崩壊しようとしているとき、賦課限度額73万円を77万円に、4万円も引き上げるというものです。昨年22年度も同様に専決処分で限度額を5万円引き上げて73万円にし、23年度も4万円引き上げ、際限のない限度額引き上げが毎年強行されています。

厚労省の説明では、賦課限度額引き上げは、低所得層、中間層に配慮したものと説明していますが、配慮というのであれば、国の国庫負担率を大幅に引き上げ、国民の負担を軽減することです。限度額引き上げで負担増を押しつけることではありません。

本市の限度額は、平成17年には61万円でした。それから77万円に引き上げられ、1人当たり保険料を見ますと、平成17年、7万9,695円だったものが毎年引き上がり、22年は9万3,477円に、23年は9万4,956円にも膨れ上がりました。

国の言いなりで保険料を引き上げ、滞納額増加、保険証の取り上げ、また値上げの悪循環を繰り返すのでなく、市民の暮らし、医療を守る立場に立ち、負担の軽減を図るべきです。

第2の反対理由を述べます。

限度額引き上げを専決処分で承認を求めるという議決の方法です。

2月議会では、まだ限度額引き上げの政令は公布されていないにもかかわらず、先に最高限度額を73万円から77万円に引き上げる内容で予算を組んで計上し、均等割を改定、負担増の予算を提案しました。事実上、限度額引き上げとなる予算を先に議決させ、後で専決処分で限度額の引き上げの条例改正を強行する手段をとっています。限度額引き上げの政令は3月25日公布ですから、その後議会を招集し、議案に付し、審議をする方法をとるべきですし、その時間的余裕は十分ありました。

当局は、緊急を要したため専決処分したという説明ですが、専決処分できる場合とは、議会が成立しないとき、緊急を要するため議会を開催する時間的余裕がないことが明らかであると認められるとき、そして議決すべき事件を議決しないときと地方自治法で定められています。今回の専決処分の理由は、これらの場合に該当せず、専決処分の濫用に当たると考えます。

昨年も同様に専決処分で限度額の引き上げを行いましたが、国保料を引き下げてほしいという市民の声を真摯に受けとめ、限度額引き上げの条例改正について真正面から審議し、議会の正規の了解を得るという手続を経るべきです。安易に専決処分という方法をとるべきではありません。

当局の姿勢は、議決を経る手続をとる努力も見えず、専決処分ありきで議会軽視につながります。本来あるべき市長と議員の関係は、ともに住民に対して直接に責任を負うものであり、対立の原理を基本としながら、相互の抑制と均衡によって、いずれかの独善と専行を防止するという体制が原則です。

新市長になられた田辺市長は、就任あいさつで、緊張関係の中でも協調しながら、切磋琢磨して頑張らせていただきたいと抱負を述べておられます。今後は、ぜひとも二元代表制の原点から議会を重視し、議決を重んじるよう提言させていただきます。

以上、反対理由を述べ、国保料限度額引き上げの条例改正の専決処分に対する反対討論といたします。