平成23年度一般会計、国民健康保険事業会計、下水道事業会計など8本に反対する討論

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106◯31番(山本明久君) 私は、日本共産党市議団を代表いたしまして、市長から提案がありました64本の議案のうち、以下の8本について反対の討論を行います。

まず、26号23年度一般会計、32号国民健康保険事業会計、43号下水道事業会計の3本の予算案について、そして46号市職員定数条例、51号国民健康保険条例、52号市民文化会館条例、55号市立保育所条例、60号市教育職員の給与に関する条例の5本の条例の一部改正についてです。

今議会開会中の11日に起きました東北関東大震災では、いまだ被害全体の実態は不明ですが、10万人以上の死者、行方不明者を出した1923年の関東大震災以来の甚大な被害者が出ることが予想されています。犠牲になられた方々に心から哀悼の意を表します。同時に被災者、被災地域の皆さんにお見舞いを申し上げます。

今回の地震では、巨大な津波による想像を絶する被害や、原子力発電所が被災したことで炉心溶融と放射能放出という被曝被害が出て、広範囲に大規模に避難する原子力災害という未曾有の被害が出ています。

地震はとめられませんが、二度とこのような悲惨な被害を出さない対策が国家的に切実に求められています。

今、国難という事態に対して、国はもちろん、すべての自治体と国民が被災者と被災地の救援、復旧、復興に力を合わせるときです。

私たち日本共産党市議団は、そうした立場から、市当局に対して、とり得る最大限の取り組みを16日に要望したところです。

地域防災計画の見直しと津波対策の抜本的な強化や住宅耐震化の助成拡大、浜岡原発については、中部電力に対してM9.0以上に対応する地震、津波対策の強化などを求めるよう求めました。

私たちは、この実現に向けて取り組む決意です。特に、東海大地震の震源域の真上にある浜岡原発については、直ちに運転を中止すべきです。

さて、本市において23年度の予算に最も求められていることは、厳しく追い詰められている市民の暮らしと地域経済を応援することだと思います。

しかし、全体としてそうなっていないことが、当初予算を初め関連議案の最大の問題点だと思います。

さらに、今回の地震を教訓に、本市でも防災のまちづくりを思い切って進めるための補正予算を果断に打っていくことが必要だと思います。

大もとの国の予算案が、大もうけしている大企業には減税をする一方、苦しむ庶民には増税、自治体には負担を強いるという全く逆立ちした内容になっていることについては、厳しく批判をするものです。

こうした基本的な立場のもとで、反対する議案については、以下の具体的な理由で認めることができません。

第1は、国民健康保険料の値上げによる市民負担増です。

市当局は、市民1人当たり1,200円、限度額4万円の値上げを提案しています。私たち党市議団は、市民団体が実施した国民健康保険についてのアンケートも参考にして、一世帯1万円の引き下げのための修正案を委員会で提案いたしました。

そのための財源は、積み立てた基金を12億7,000万円崩せば、これは予算のわずか0.5%ですが、できるものですが、この修正案は残念ながら委員会では否決されてしまいました。

しかし、市民の暮らしを応援するという点ではどうしても必要なことだと確信しています。高過ぎる国民健康保険料は、命にかかわる問題です。

本市でも、滞納による保険証の取り上げは2,200世帯に及んで、現に命と健康を脅かしています。

この問題の大もとは、国が国保への国庫負担率をこの間半分に削減してきたことにあることは明らかです。これが自治体を苦しめ、市民を苦しめています。

ですから、国に対して国庫負担率をもとに戻させるということが不可欠ですが、これが実現するまで住民の福祉の増進という使命を持つ基礎自治体の本市が、医療、福祉を充実させるために予算を編成すれば、引き下げは十分可能であり、その努力を求めるものです。

そうせずに逆に値上げをして、市民に負担増を強いている予算案、国保条例改正案は絶対に認めることはできません。

第2は、一般会計について、自治体として幾つかの容認できない経費が計上されていることです。

1つは、訓練と称して戦争準備に市民を動員する国民保護計画の推進や、自治体がやる必要のない自衛官募集の経費です。

2つ目は、100億円もかける日本平山頂公園整備は不要不急の大型開発であり、計画を見直し削減すべきです。

3つ目は、23億円もの国直轄道路事業負担金や3億円余の清水港整備事業県負担金は、本来、市が負担する必要がないものです。

4つ目は、公共施設である市民文化会館を、建設から管理運営まで長期間1つの民間企業体に丸投げするPFI手法です。この手法は、本当に市民サービスの向上になるのか、経費は安上がりになるのか、あるいは市の公的責任が後退するのではないかなど、現時点では検証できない多くの問題点があります。当面、建設までは反対していきます。

第3は、下水道事業会計予算において、市民から3億円余の重い受益者負担金を徴収していることです。

本来、道路や水道など、他のインフラと同様に徴収すべきではありません。既に負担している都市計画税と二重徴収になるものですから、この条例は見直すべきです。

第4は、住民福祉の増進という自治体の使命から見て問題となる、住民奉仕で働く市職員の削減及び労働条件の低下、そして、公的責任を後退させる民営化や市民負担増に関係する4本の条例改正についてです。

1つは、定員管理に基づく削減を提案された46号市職員定数条例の一部改正です。

これでは、消防局職員や企業局職員などでは12人増員されていることは当然のこととして評価しますけれど、しかし、市長部局を初め4つの行政機関で28人削減されていることは、市民に奉仕する力を削ることになります。政令市の増大する仕事に対応できる職員の確保というのは、市民に奉仕する環境を守ることでもあります。人件費をカットするという観点のみから職員を削減することは容認できません。

2つ目には、55号保育所条例の一部改正についてです。

これは、市立清水飯田東保育園の民営化によるものです。公立保育園は公立の役割があります。私立は公立と同じ公的な保育サービスを担っていますが、給料などについて公立とは大きな格差があって、非常に低い現状になっています。

私立にとっても市民の保育ニーズを担うために、公立は公立でよい保育を進めてほしいという切実な要求があります。コスト削減のための安易な民営化はやめるべきです。

3つ目は、60号の教員の手当を削減する条例改正についてです。これは、教員の人材確保のための手当を小泉骨太方針以来カットするという流れを一層進めるものです。

教員には残業手当がありません。そのもとで、先日報道された民間の教育研究センターの全国調査では、教員の1日の勤務時間の平均が小学校で11時間29分、中学校で12時間3分という長時間労働になっています。超多忙で過労死ラインの長時間勤務の実態が広くあります。

これから少人数学級編制の流れが強まっていきます。優秀な教員をしっかり確保するという上でも、これに逆行する手当の削減はすべきではありません。

4つ目が、52号の市民文化会館条例の一部改正です。この問題は、新清水文化会館の利用料金において、従来の文化センターより草の根で文化活動を進める非営利のNPO法人などで負担がふえる場合があることです。

新たな料金設定では、中ホールから小ホールになることで、あるいは、冷暖房利用料金が今回の利用料に含まれる中で、確かに負担が軽くなる部分もあります。

しかし、草の根で文化芸術活動を一定の会費を取って運営しているような団体にとっては、企業と違って、これまでもできるだけ経費を抑えようと最大限冷暖房を使わないで努力してきたという声も聞きました。

ですから、総合的に判断して、草の根の市民の文化活動を支える立場から、今回の料金設定には同意することはできません。

以上、幾つかの反対理由を述べてきました。

私たちは、反対する点については対案をしっかり示して、その実現のために取り組んでいきます。問題ある施策については、改善のために取り組んでいきます。

例えば、旧西ケ谷清掃工場の解体工事契約議案については、昨年、反対をいたしました。

それは、超安値で400トン規模の工事実績、資格がないということで反対したわけですが、今回、本当に適切に工事がされるのかどうかということについては、行政がしっかり監視を強化するとともに、周辺地域住民には丁寧な説明をしていただきたいということを求めておきます。

私たち日本共産党市議団は、こうして市民の利益第一という立場を堅持して、市民が主人公の市政を目指して活動する立場を改めて表明して、反対討論といたします。