国保行政について質問

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98◯4番(鈴木節子君) では、通告に従い、国保行政について質問します。

これまでも継続して取り組んでまいりましたが、市民の立場に立った改善の必要性、重要性をたださせていただきます。

不況の嵐が吹き荒れ、貧困と格差が広がり、暗い閉塞感が市民の間に重く広がっています。高過ぎる国保料が暮らしを圧迫し、収納率は低下を続け、滞納に対する制裁措置は続き、国保はもはや崩壊の危機にあります。今必要なことは、国保加入者の生の声、要望をつかみ、実態に沿って改善、再生させることです。

質問に先立ち、市民団体の医療と福祉をよくする会が行った国保実態調査結果を報告させていただきます。

配布した資料をごらんください。

調査は、ことし9月、市内の約300世帯を対象に直接面談し、聞き取りも含めて行い、その結果を記者発表したものです。

保険料について、87%の世帯が高いと答え、これ以上の負担は無理、年々圧迫しているが多数を占めています。

このように過重負担でありながら何とかやりくりし、努力してまじめに納期内に納めている世帯は8割、しかし、もう限界という姿が浮き彫りになりました。特徴的なのは、医療費の負担感について、治療の先延ばしや中断が約2割あり、受診の回数を減らし、重いときだけ受診する、買い薬でしのぐなど、窓口負担が重いために受診を抑制せざるを得ない実態が明らかになっています。

また、保険料滞納により、資格証明書の方が24世帯おられましたが、直接面談しお聞きしたところ、収入が激減し、無理して払ってきたが滞納に至った。督促状が来たが、市役所に出向けば支払いを迫られることを思うと心配で相談に市役所に行くこともできないという実態に触れ、決して悪質滞納者ではないことがわかりました。300世帯のうち24世帯が資格証明書という割合は、予期せぬ深刻な数字だととらえています。

また、減免制度について知らないが4割を占め、相談したことがないは8割にも及び、制度を知らないために活用されていないことがわかります。

国保に対する要望では、国保料を引き下げてほしいが82%、医療費の自己負担を引き下げてほしい、安心して病院にかかりたい、これが6割に上り、重い負担が限界に来ている実態が浮き彫りになりました。

これらの調査は、本来なら市当局が行うべき調査です。こうした市民の生の声を踏まえ、今回は、制裁措置である資格証明書、窓口の一部負担金減免、保険料減免と保険料引き下げの4点について質問します。このうち3項目はやる気があればできる問題です。そして保険料引き下げについては財源を伴いますが、市民を思いやる心、ハートがあればできる問題です。

 

 

◯議長(安竹信男君) 静粛に願います。

 

 

◯4番(鈴木節子君)(続) 1点目に、資格証明書について。資格証明書を発行しても収納率は低下し、制裁措置が破綻したことは明らかです。ここ数年の厚労省の通知によりますと、資格証明書交付については変化が見られ、機械的運用を行うことなく、特別の事情を把握せよとか、医療の必要が生じれば短期証を交付することができると、一律の悪質滞納者扱いはやめ、慎重な対応を求めています。

国が機械的運用をやめ、慎重な対応を求めるようになった背景は何か、また、通達に対し市はどう対応するのか、お答えください。

2点目に、窓口で払う一部負担金について。正規の保険証であっても、医療費が高く、治療に回すお金がないために受診抑制、中断が社会問題になっています。

国は昨年のモデル事業を経て、ことし9月、一部負担金の減免の対象となる新基準を51年ぶりに改正しました。収入が生活保護基準以下、預貯金が生活保護基準の3カ月未満で、入院が対象です。

これらは、まだ制度を実施していない自治体に向けた技術的基準ですが、本市の基準はもともとあります。生活保護基準の1.2倍と国の基準より上回り、入通院の規定はありません。

国は市町村の基準が国の基準より広い場合は、あえて狭める必要はないと、基準の上積みは自治体の裁量に任せています。本市の実績は過去2件と利用は低迷ですが、窓口負担を軽減し、受診を促すためにどう対応するのか、伺います。

3点目に、保険料の減免について。本市の減免実績は250件、額は2,000万円にも満ちておりません。政令市中最低レベルです。9月議会では、適用対象を他政令市の基準を参考に検討するとお答えをいただき、一歩前進したと評価をしております。

災害や事業の休廃止など、一時的所得激減というこれまでの狭い範囲を広げて、せめて恒常的低所得世帯は対象とし、休廃業だけでなく営業不振も含める、預貯金の額も見直すなど、利用しやすく実効ある制度への改善が必要です。適用対象をどこまで拡充するのか、どういう方針のもとに検討しているのか、伺います。

以上、1回目です。

 

 

◯保健福祉子ども局長(寺前泰男君) 国保行政についての3点の御質問にお答えをいたします。

最初に、資格証明書について、国の通達の背景と市の対応ということでございます。平成20年10月30日付の被保険者資格証明書の交付に際しての留意点についてということで、国の国民健康保険課長通知がございますが、資格証明書の交付につきましては機械的な運用を行うことなく、特別の事情の有無の把握を適切に行った上で行うこととございます。このことから、国の通達の背景には、市町村においては、機械的運用がなされている懸念があるということも考えられます。

本市では、資格証明書の交付につきましては、法令の規定や国の通達等に基づきまして適切に対応しております。

次に、一部負担金減免についての国の基準への対応についてでございますが、厚生労働省は、9月に一部負担金の減免について、生活保護基準以下などの世帯を適用対象にするなどの基準を通知をいたしました。

本市におきましては、現在の市の規定では対応できていない部分につきましては、国が示した基準を踏まえまして、一部負担金の減免基準の改定を検討しております。

次に、保険料減免の適用対象についてでございますが、保険料の減免につきましては、被保険者間の負担の公平性の確保という観点を踏まえ、他都市の状況等を参考に、現在、減免基準を改正することを含めまして検討しているところでございます。

以上です。

〔4番鈴木節子君登壇〕

 

 

◯4番(鈴木節子君) 2回目ですが、今お答えいただきましたが、資格証明書については、国の指導どおりにはなっていません。市が督促状を出しても、怖くて市民の皆さんは来られないんです。そこに対して、相談に来ないからといって、一律機械的に資格証明書を出していますので、これは国の指導には反すると思います。

政府の資格証明書を交付された人が医療を受ける権利、必要があり、医療費も払えないと申し出があった場合は、資格証明書にかわり短期証を交付するという答弁により、各自治体では改善が始まっています。当局が示す資格証明書の目的は折衝の機会を確保するとおっしゃっておりますが、医療の制限が目的ではありません。受診できなければ命にかかわる重大な問題となります。医療の必要な人には、まず保険証を交付し、受診を優先させ、命を守るのが市の役割であり、道理です。

市の窓口には怖くて行くことができないという人は、医療機関に申し出て、医療機関から市に連絡すれば、保険証を交付し3割負担とする、こういう対応が他の自治体では進んでおります。

本市ではどう対応するのか、伺います。

2点目に、一部負担金減免の適用についてです。全国保険医団体の調査によりますと、患者さんが医療費が重荷で治療中断があると答えた医療機関は39%です。特に長期慢性疾患に集中しています。

国保の加入世帯は年金生活者も含め無職者が5割を占め、保険証を持っていても、窓口負担が払えないために医療を受けられない、こういう声がどんどん寄せられております。深刻な事態が本市でも広がっています。国は、適用については、保険料の滞納の有無にかかわらず、減免を行っていただきたいと示しています。

市の要綱では、滞納者は除外されていますが、滞納者であっても減免対象とする、また、入通院問わず対象とすべきですが、確認の意味で適用対象を伺います。

3点目に、高過ぎる保険料の減免についてです。国保実態調査では、率直な意見を聞くことができました。国保料を払うために、税金を滞納せざるを得ない、払える保険料にしてほしい、年金から自動的に天引きされ高負担に耐えられない、保険料が年収に比べて高く、窓口負担も重く、これでは保険とは言えないなどです。市の当局の皆さんは、やはり実際市民の中に入って、声を率直に聞くべきです。こうしたことがなくて、なぜ制度の改善が図られるのでしょうか。今、さまざまな制度改善に取り組んでおられる立場ですので、ぜひ今こそ市民の中に入って実態調査をしていただきたいと思います。

保険料の減免についてですが、例えば、年所得200万円、2人世帯の場合、本市の保険料は26万1,800円、所得の13%が保険料です。生活保護基準世帯の場合は3人世帯で所得104万8,800円で、年額14万7,000円の保険料を払ったら保護基準以下の生活を強いられることになります。

政令市の減免制度を比較すると、適用対象を災害や事業の休廃業に加え、もともと低所得層や非課税世帯、子供の多い世帯などを対象にし、生活保護基準の1.3倍までの基準を持つ川崎市は、減免実績で8,545世帯、額は9億3,700万円です。本市は250世帯、2,000万円というこの比較を皆さん、胸にとどめておいていただきたいと思います。

本市も見直しの作業中ということなので、ぜひ検討していただきたいのですが、せめて生活保護基準の1.3倍までの世帯や非課税世帯は減免の対象にし、払える保険料にすべきではないでしょうか。

担当課は、国保は医療保険が役割で生活困窮者の救済ではないとおっしゃいますが、国保は低所得層が多いのに、保険料は無料がありません。高い国保料が生活を脅かし、医療費が高く、窓口負担を払ったら生活できないために受診を控える、こうした問題を抱えているのが国保です。

これで医療保険と言えるのでしょうか。減免対象の拡充内容について伺います。

以上、2回目です。

 

 

◯保健福祉子ども局長(寺前泰男君) 国保行政の3点の御質問にお答えいたします。

最初に、資格証明書交付世帯において、医療費の支払いが困難である場合についてでございますが、国の通知によりまして、資格証明書交付世帯に属する被保険者が医療を受ける必要が生じ、かつ医療機関に対する医療費の一時払いが困難である旨の申し出を行った場合には、短期保険証を交付しております。

医療機関からの連絡による対応は、現在のところ考えておりません。

次に、一部負担金減免についての滞納世帯や通院も対象とすべきだということでございますが、現在の市の基準では、通院は対象としております。

滞納世帯につきましては、国の通知に基づきまして、一部負担金減免基準等の改正について、今後検討してまいります。

次に、保険料減免の適用対象についてでございますが、保険料の減免につきましては、個別具体的な負担能力の判断が必要であることから、それぞれの相談に乗ってはおりますが、低所得のみを事由とした減免制度の拡充は考えておりません。

以上でございます。

〔4番鈴木節子君登壇〕

 

 

◯4番(鈴木節子君) では、3回目の質問ですが、本年3月、当時の長妻厚労相は、資格証明書交付について、保険料を払えるのに払えないと証明できた以外は慎重に取り扱うよう自治体にお願いすると答弁しました。本市では、滞納世帯に接触できないという理由で、また実態が把握できない世帯にも資格証明書を2,168世帯に交付しています。

国保加入世帯では受診率の比較をしていますが、加入世帯は月平均受診率が118.6%、これはいろんな医療機関に受診しているからこういう数字です。118.6%に比べ、資格証明書の方は0.9%と。受診をもう拒否されたかのように、受診する気力も失って、病気もどんどん悪化させています。国の指導は、悪質と証明された以外は資格証明書を交付しないというものです。

当局は、まじめに納付している市民との公平性を主張しますが、納付相談が目的であれば、資格証明書を交付せずとも折衝の機会は確保できます。国や県の通知に沿い、払えるのに払えないと証明できた以外は資格証明書を交付すべきではありません。改めて方針を伺います。

2点目に、各種制度の周知の問題です。一部負担金や保険料減免制度をどうやって市民に知らせていくのか。医療費の窓口負担軽減の必要性は医療機関も痛感している問題です。医療機関から必要のある人に積極的に活用を進めていただくためには、まず、医療機関に制度を徹底し、活用を促していただく、市からもチラシやポスターなど制度紹介の手だてを強める。こうした手だてなくして利用は広まりません。方針を伺います。

3点目に、保険料引き下げについてですが、市民の生の声、ぜひ知っていただきたいと再三申し上げておりますが、当局との関係では、この間、保健福祉子ども局は、かなり国保料についてはいろいろお考えいただいていることはよくわかります。最後には財政の問題なので、財政の関係、特に市長の英断が……

 

 

◯議長(安竹信男君) 残時間1分です。

 

 

◯4番(鈴木節子君)(続) 必要になりますが、今度は国の最高限度額の引き上げによって、また値上げの議論が出ています。際限のない値上げで、市民からは払う気力も失せています。今必要なことは、値上げではなくて、引き下げて市民の暮らしを守る、そのためにどのくらい財源は必要なのか、財政部局として、これは真剣に議論をする、こうした姿勢こそ必要です。

保健福祉子ども局だけでは、もうこれは手に負えない、市全体の財政をどうするかという問題ですので、市民の暮らし、福祉を守る、この思いやりの心があれば十分にできる英断だと思います。ぜひ引き下げのための議論を尽くして、その姿勢を伺って、質問を終わります。

 

 

◯保健福祉子ども局長(寺前泰男君) 国保行政の3点の御質問にお答えいたします。

最初に、資格証明書の交付についてでございますけれども、資格証明書、短期保険証の交付は、納付相談の重要な機会となっておりまして、被保険者の負担の公平を図るという観点からも極めて重要でございます。資格証明書などは法令の規定によって交付するもので、当然、法で定める要件に当てはまる被保険者には、資格証明書等の交付をすべきものと考えております。

次に、一部負担金や保険料の減免制度についての医療機関への徹底と市民への周知ということでございますが、国保料の減免制度につきましては、引き続き保険料納付通知書や同封のチラシ、パンフレット等に掲載し、周知を図ってまいります。

一部負担金の減免は、その世帯の生活状況など個別具体的な事情により判断される例外的なケースであるため、周知については難しい面がございます。今後、減免基準の見直しを行い、パンフレット等にどのような掲載が可能かを検討してまいります。

最後に、国保料の引き下げについてでございますけれども、国民健康保険事業は、被保険者の保険料を主として、国庫負担金その他の収入で賄うのが原則だと考えております。

しかしながら、国民健康保険事業会計の財政を安定させるために、一般会計からは保険基盤安定制度による繰り入れを初め、国保財政安定化支援事業、出産育児一時金、事務費等に対する繰り入れなどの法律に基づくもののほか、保険料収入の不足を補うための繰り入れを財政事情の許す範囲で実施しております。

昨今の経済情勢の悪化によりまして、限られた財源の中で、一般会計からの繰り入れを大幅に増加させることは難しい状況でありまして、現在は保険料を引き下げる状況にないものと考えております。

以上でございます。