平成21年度一般会計、国民健康保険事業会計など7議案について反対の討論

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93◯31番(山本明久君) 私は、日本共産党市議団を代表して、議題となっております44議案のうち、以下の7議案について反対の討論を行います。

21年度決算の認定においては、認定第1号平成21年度一般会計、第7号国民健康保険事業会計、第13号介護保険事業会計及び第17号、18号、19号の3事業会計合わせて6認定議案について、また、議案第232号西ケ谷清掃工場旧工場解体工事の工事請負契約の締結について、以上です。

まず、21年度決算についてです。21年度は、世界同時不況の影響のもとで、日本での経済・金融・財政の危機が波及し続けて、失業、倒産、暮らしの困難という状況から、どのように地域経済と国民・市民の暮らしを守るのかということが地方自治体にも鋭く問われました。

市長の21年度施政方針では、都市の品格を高めること、市民目線を大切にすることを2つの政策理念としながら、政令市としての都市基盤整備を柱にした1次総の総仕上げに力を入れると強調されました。

こうしたもとで、政策と財政運営が展開されましたけれども、本市の決算の特徴を見てみますと、全会計で5,400億円に上りますけれども、歳入では、市税収入は市民1人当たり17万4,054円で、18政令市中12位と低くなっています。一方、市債は市民1人当たり6万9,429円で、政令市中第1位、一番借金を多くしているということです。

歳出面では、民生費は市民1人当たり9万1,790円で17位。ちなみに、政令市平均は13万6,297円です。構成費は22.3%で最下位となっています。一方、土木費は市民1人当たり9万6,750円で、構成費23.5%とともに第1位になっています。政令市平均は7万5,704円ということです。

このように、暮らし・福祉の民生費より土木費のほうが多いという、この税金の使い方に本市の特徴が一番あらわれています。この抜本的な切りかえが必要です。

こうした状況を踏まえた上で、以下の反対理由を述べていきます。

まず第1に、暮らしに苦しむ市民に値上げや料率改定による負担増によって、さらに苦しみを押しつけたことです。

看護学校授業料、国民健康保険料の介護分、介護保険料の所得段階改定などにおいて負担増となる市民が多く生まれました。特に、国保については、連続の値上げによって、本当に払いたくても払えない世帯が加入世帯の4世帯に1世帯に及ぶようになりました。

こうした事態を生んでいる根本原因は、国が国庫負担を引き下げてきたことです。1984年の負担率が49.8%だったのが、2008年度には半分以下の24.1%になっています。これをもとに戻させるために、議会も市民も当局も力を合わせていきましょう。それが実現するまで、市は財政的な支援を拡充すべきです。

第二に、そうした一方で、大型箱物や開発で、本来抑えられる、あるいは抑えるべき支出を無駄に行い、また行おうとしていることです。

1つは、静岡駅南口の再開発ビル内に、10年前につくったばかりの都市型美術館であるアートギャラリーを、今度は駅北口の再開発ビル内に33億円も使って移転したことです。確かに、今年度新しくできた市立美術館というのは立派なもので、できればいいなというふうにだれもが思います。しかし、計画段階から財政が厳しい中で莫大な税金投入をしてまで、あえて移転する必要はなかったものです。

もう一つは、新西ケ谷清掃工場で、直接溶融炉建設です。

清掃工場そのものは新しく建設が必要なものですけれども、直接溶融炉250トン炉の2基を含めて、195億円かけて21年度に完成しました。これは1,800度Cの超高温で、ごみや金属でもなんでも溶かすという、分別・減量化とは逆行するものであり、莫大な溶融炉費用、これから高くつくランニングコストも考えると、本来ごみの減量化の目標を高く設定して、市民の協力も得て減量化に取り組み、分別して資源化率を高める取り組みをすれば、こんなに費用をかけずに済んだはずです。

さらに、これから10年をかけて行おうとしている日本平山頂公園整備についても、100億円もかけずに、自然に手をかける開発をもっと抑え、施設整備も最小限にして計画を縮小するなどの見直しが必要です。

また、東静岡駅前の多目的アリーナ構想は、過大な過重投資となるものであり、やめるべきです。

第三に、公的施設や公務の民営化、民間アウトソーシングによって、本来、住民奉仕のための施設や仕事における公的責任の後退をもたらし、正規職員の削減を進めたことなどです。

清水駅東地区文化施設や旧南部学校給食センターにおけるPFI手法については、施設建設からその維持管理・運営まで、費用を削減するという名目で民間企業に丸投げされてきています。特に、学校給食は教育の一環であり、それを費用が少し安いという理由で、利益追求の企業にゆだねてはならないと思います。

また、公立保育園の民営化やさまざまな公務の民間委託が進められましたが、21年度までの5年間は、総務省の指針によって地方分権に逆行して、全国の自治体を縛った集中改革プランが強行されました。そのもとで、定員管理計画によって、5年間で正規職員が420人も大幅に削減され、それが職員のメンタルヘルス問題を大きくさせるとともに、現場にしわ寄せがされ、市民サービスを低下させるという矛盾を引き起こしています。

このようにして、民営化や職員削減は自治体リストラであり、住民福祉の増進を進めるべき自治体の使命を空洞化させて、その使命と逆行するものになることです。こうした路線は、きっちりと切りかえが必要です。

第四は、人事委員会勧告による職員給与の引き下げです。

今、経済危機と財政危機を一体的に打開するということが求められていますけれども、そのためには、内需を拡大して国民の消費力を高めることが不可欠です。しかし、公務員給与の引き下げというのは、これと逆行して、さらなる民間給与を下げる悪循環の圧力となって、地域経済の一層の沈下をもたらすものです。

21年度の公務員給与の月例マイナス0.98%、期末マイナス0.35月など、マイナス人勧による景気へのマイナス影響について、静岡自治労連の試算によると、県内で120億円の減産が起きるという指摘がされました。本来、公務労働者としての権利を奪うことの代償としての機能を人勧は果たすべきだということをつけ加えておきます。

第五に、支出すべきでない経費と徴収すべきでない負担金があることです。

毎年、これについては指摘をしていますけれども、国からの自衛官募集委託金、そして憲法違反となる戦争を想定した国民保護計画に基づく国民保護を推進し、また、少しずつ減ってはいますが、国直轄道路事業負担金、これは莫大で、21年度48億円にも上りました。

同様に、県の清水港整備事業費負担金、そして、下水道の受益者負担金の徴収は、これは都市計画税と二重徴収であり、条例改正してやめるべきだと考えています。

決算認定における反対理由は以上のものです。

次に、議案第232号西ケ谷清掃工場旧工場解体工事の工事請負契約の締結についてです。

私たち当市議団は、旧工場の解体工事は当然必要だし、敷地跡での新しい施設整備も必要だと考えています。しかし、これから述べる大きな問題の解決がまず必要です。

提案されている契約議案は予定価格の半分以下の落札額であり、しかも、工事を実際施工するのは受注企業ではなくて、下請企業に8割投げと言われて、ほとんど丸投げに近いという問題があります。しかも、解体する旧清掃工場のダイオキシン汚染が、バグフィルターで16倍も基準値を大きく上回っているのを初め、灰ピットや減温塔も上回る状況のもとで、そんな安上がりに、基準値を上回る危険なダイオキシン処理が本当にきちんとされるのかということが懸念される問題です。

さらに、契約先となる受注企業は、総合入札で求めた全国解体工事団体連合に登録された解体工事施工技士の資格がありません。これは下請が持っているということのようですが、その上、この企業は、旧工場の400トン炉規模の解体工事の実績もありません。

このように、ダイオキシンの高濃度汚染のもとで、超低い落札額や技術能力の一連の問題が1つ。

第2点目は、より根本的な反対理由として、こうした状況だからこそ、住民の、地域のその合意がない、多くの住民が反対の意思表示をしているということです。

これは市による事前の地元住民説明で、井戸水が飲めなくなるという説明に対して、一層住民は不安を高めてきています。風評被害についても大きな懸念を持っています。

先ほど述べたような危険なダイオキシン汚染施設の解体工事が本当に安全にきちんとされるのか、住民への被害が本当に防げるのか。また、まだ敷地の土壌汚染調査もされていないもとで、これが大幅に基準を上回っていればどう処理するのか、地域の環境汚染を防ぎ、なくすためにどうすればいいのかなど、多くの問題がこの契約によって、このまま解体工事が進められるということに対して、住民の合意と納得がされておりません。これらの問題をまず解決すべきだと考えます。

今述べたような大きな問題を持つ旧工場の解体にかかわる契約を、今、議決すべきではありません。住民合意を得てから進めるべきだということを主張して、反対討論を締めくくります。