2次総について質問

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64◯31番(山本明久君) 私は、2次総について質問をしていきます。

2次総は、22年度からの5年間の基本的な本市の計画になりますので、議会も行政も市民も大いに議論して、市民要求の実現やら、税金の重点的な使い方やら、市政のあり方を大いに議論していきたいと思います。

ですから、1回目は、まず、1次総の総括についてお聞きしていきます。

2次総計画案を読んでいきますと、1次総の総括部分が述べられているわけですけれど、あれこれの事業をやりました。進捗率はこうですという程度のものだと思います。これはやっぱり読み始めて一番気になったんですが、この10年間の基本構想のもとで最初の5年間の1次総で進められた、まちづくりの到達や問題点、2次総で克服していくべき課題と教訓などが総括でほとんど示されておらず、総括らしい総括はされていないんじゃないかということです。

基本構想で掲げられた目指すまちの姿をもとに、1次総は政令市の基盤づくりというのが中心だったように思います。その1次総計画に基づき、まちづくりを実施した結果、「活発に交流する」というテーマはどういう前進や発展があったのか。「価値を創り合う」というテーマではどうだったのか。また、自立した都市で掲げたテーマがどこまで前進、発展したのか。はたまた、それらの3つのテーマにおいて後退や低下はなかったのかどうか。あったとすれば、何が要因で、2次総に引き継ぐべき教訓や課題は何かということについては、当局として議会にしっかり考えを示していただきたい。

あわせて、1次総の5年間の計画におきましては、財政計画は約1兆2,100億円、計画では提示されました。これが三位一体の改革によって、恐らく交付税は、予算ベースで見込みより15%程度の減少、その分、市債が25%程度恐らく増加しており、公債費も増嵩しているというふうに思いますけれど、これらがまちづくりにどう影響したのか。財政計画における課題や問題点についてもしっかりと総括を示していただきたい、これが1回目の質問です。よろしくお願いします。

 

 

◯経営企画局長(鈴木 孝君) 1次総の総括等に関する御質問にお答えをいたします。

1次総は、指定都市の移行に合わせて策定した最初の総合計画であることから、指定都市への移行の効果を短期間に達成するため、区制の確立、移譲事務の着実な実行、まちの顔づくり、高次高質な行政運営といった基盤の確立に努めてまいりました。

さらに、市民レベルでの一体感の醸成、均衡ある発展に向けた諸事業の展開、住民や子供の安全・安心の確保、子育て世帯への支援といった新静岡市としての一体化を推進し、計画事業量、計画事業費とともに、おおむね所期の目標どおり達成されつつあると認識しております。

2次総では1次総における成果を引き継ぐとともに、社会の多様性への認識の高まり、大交流時代の到来や世界的経済危機など、1次総策定以後の社会経済情勢の変化、国の制度改正による地方財政の影響などに的確に対応していくことが必要であると考えております。

以上でございます。

〔31番山本明久君登壇〕

 

 

◯31番(山本明久君) 2回目です。

答えにくいのか、極めて省略した答弁だったように思います。

しかし、私が聞いた活発交流、価値創造、自立都市形成というテーマで、それぞれどういう到達だったのかというのが、明確にはやはり総括されていないという答弁だと思います。要するに、検証していく基準もはっきり持ちにくい、持てないような打ち出しだったのじゃないかと思います。

しかし、今の静岡市の現況を見ると、これは必ずしも17年から21年の期間ということにはなりませんが、都市力の低下ということが、当局が2次総作成の資料としてつくられた「静岡市の現況と課題」という資料の中にも明確に示されています。地域経済の分野では市内の総生産は、この10年間で7%のマイナス。ここ5年間で事業所数は4,200減り、従業員数は2万7,000人減ってきていると。製造品の出荷額は若干伸びていますけれど、県内の20万都市と比べて伸び率は非常に小さいものだと。商品販売額においては10年間で30%以上落ち込んでいます。農家数も10年間で20%の減少。

そうした経済指標で一番基本的な人口なんですが、これは国へ先駆けて、生産年齢人口も平成2年から減り続けて、社会動態、自然動態ともに減少し続けて、2次総の今から5年後も70万2,000人程度になるという見通しはされています。

各市との行政水準の比較などを見ても、地方都市の中でも物価と地価が非常に高いと。しかも、人口1万人当たりの医師数や病床数も政令市の中では最下位レベルだと。市民の暮らしの分野では市税等の滞納が50億円ぐらいに上って、中でも国保料は加入世帯の4世帯に1世帯が、もう滞納しているという非常に厳しい状況になっていると。特養ホームも待機者数は3,200人を超えてきていて、ずっと一貫してふえ続けているという状況ですから、一言で住みやすいまちに1次総を通して1兆2千数百億円かけた結果、到達はどうかといえば、これらの指標を見るだけで判断しても、地域経済においても暮らしにおいても非常に住みやすくはなっていないというふうに言えるんじゃないかというふうに思います。

確かに、政令市になって駅前に大きな再開発ビルが建ちまして駅前が整備されました。区役所は整備されました。それはそれでいいんですが、しかし、基礎的な自治体として、密着する住民の福祉の増進と地域経済を元気にするというのが、もう中心的な外せないかなめのテーマになっているんじゃないでしょうか。

ところが、総括がしっかりされてない結果なのか、2次総で打ち出された向こう5年間のまちづくりのテーマが世界に輝く「静岡」の創造というふうになってきているわけです。余りにも落差が大きいと私は感じざるを得ない。幾ら目指すとはいっても、それが現実的な課題に、本市の課題になり得ているのか。根拠もはっきり示せないまま、このままいけば5年間も世界に輝くということが検証できるテーマになっていていいのかどうかというふうに私は思うわけです。世界に通用する産業や人材の集積を目指すと言ってみても、今、申しました地域経済、暮らしの面でも、これを5年間で本当に打開するんだという、これが私は本市の直面する最大の課題ではないかと。ですから、向こう5年間はここに重点的に事業も予算も投入して打開していくと。それが本当に求められてきているんじゃないかというふうに思います。

ですから、2回目にお聞きしたいのは、きちんと向こう5年間の市民が納得できるような展望を、根拠をしっかり持って示して、5年間のスパンで可能なまちづくりということを、もっと足元の現状を見て、分析して、1次総の到達を踏まえて、基礎自治体として、市民生活に密着した目指すまちづくりのテーマを打ち出すべきじゃなかというふうに考えますが、どうお考えか。

あわせて、それを裏づける2次総の財政計画については、きのうからの議論で政府の方針等で見通せないということが示されました。しかし、5年間の施策の体系、主な事業は計画で示されて、財政についての見通しは示せないという計画というのはあり得るのかと。だから、今の時点で、少なくとも、22年度予算は組むわけですから、それをベースに5年間のフレームをつくるとか、フレームが無理でしたら、これこれの事情で見通しはこうなるんだということを、例えば、財源が足りなければ事務事業を削るのか、あるいは市債で賄っていくのか。1次総のときは三位一体の改革で見通せないから大きな変動要因があるという断りのもとで、先ほど申しました5年間の財政フレームは示したわけです。今回、それ以上に大きな変動が恐らく要因として考えられるんでしょうが、しかし、フレームでなくても、こういう見通しだということ自身は、計画として提案する以上、財政の見通しもやっぱりつけ加えた提案、計画にすべきじゃないかというふうに思います。

そういう考えについて、示せる範囲で示していただきたい。局長、よろしくお願いいたします。それがやっぱり市民に責任を持って総合計画を示すという点で必要じゃないかと考えますので、よろしくお願いします。

 

 

◯経営企画局長(鈴木 孝君) 2次総のテーマに関する御質問にお答えをいたします。

現在の本市における市民生活や経済活動は、運輸、通信技術の進展などを背景といたしまして、グローバル化が極めて顕著になってきております。さらに、東アジア諸国の経済的離陸の中にありまして、静岡空港などの大規模社会資本の整備が進み、大交流時代を加速させる環境が整いつつあります。まさに、本市においても、ヒト、モノ、カネ、情報等が地球規模で活発に交流する社会に変容しようとしております。

一方で、2次総の策定に当たり、6分野ごとに現状と課題を把握、検証した上で、市民委員と専門委員等で構成する原案検討会において検討するとともに、タウンミーティングやパブリックコメントにより、地域社会に生じているさまざまなニーズを酌み上げ、また、市民意見などの把握に努め、地域の課題を克服する市民目線に立った計画となるよう配慮してまいりました。

このような前提を踏まえ、2次総のテーマを検討したところでありますが、1次総策定後の本市を取り巻く社会経済情勢が変化する中、本市の存在感をどのように発揮していくかが2次総における重要な課題であるという認識や、さきに述べました市民生活や産業経済活動のあらゆる局面にわたりましてグローバル化が浸透してきていることを踏まえ、世界に輝く「静岡」の創造をテーマに掲げたところでございます。

なお、財政計画を立てて事業計画を策定すべきとの御質問でございますが、昨日来の答弁にありますように、現在、確たる2次総の財政フレームが策定できる状況にはございません。したがいまして、そのようなフレームの見通しができるような時点をとらえまして、このフレームに即した事業計画を策定してまいりたいと考えております。

以上でございます。

〔31番山本明久君登壇〕

 

 

◯31番(山本明久君) 3回目です。

その世界に輝くという根拠はグローバル化、大交流時代だということに求めているようですけれど、グローバル化はそれでいいんですよ。しかし、基礎自治体として、足元を見た5年間のまちづくり計画をつくるという場合に、世界共通のグローバル化、その大交流時代というのは90年代からの財界戦略なんです。それをそっくり基礎自治体が取り入れて、5年間のまちづくりの方針に据えるというのはどうかなというふうに思います。

世界に輝く静岡というまちづくりのテーマですけれど、その計画案を見れば、3つの戦略でアプローチして、市民の個性の発揮、オンリーワンのブランドづくり、世界の人々からもあこがれられ、だれもが住みやすくなり、訪れたくなるまちづくりと、それを5年間のまちづくりでつくって、世界に輝くんだという考えですね、展望といいますか。暗い世相ですから、言いたいことはいいんですよ。言いたいことは言ってもいいんですが、5年たって本当に、先ほど申しました暮らしや地域経済の現状で世界に輝かせるだけの展望を持った、今、それの裏づけとなる財政基盤、投入できるかどうかすら展望が持てないときに、それが果たして現実味を帯びた提案なのかというふうに思います。

ですから、ここでは、私はやっぱりしっかり足元を見て、現状をリアルに分析した上で、本市が直面する打開すべきまちづくりの課題を確認しながら、その5年間の計画を立てていくというのがやっぱり基礎自治体の役割じゃないかと、住民の福祉増進という法律で決められた役割じゃないかというふうに思います。

その現実性のある、市民が納得できるようなまちづくりを示す必要があるんじゃないかということで、私たちの考えでいけば、当局が分析されているように、これから高齢人口が人口比で25%を超えていくと。減少する子供さんのために子育てしやすいまち、子供さんを応援していこうということも打ち出されています。ですから、小学校区単位、あるいは中学校区単位で、いわば歩いていける範囲で必要なサービスがきめ細かく受けられるような、それこそ安心して住み続けられるような、そうして同時に、地域で雇用も吸収して、地域内で経済がうまく循環して活性化していけるような、暮らしと地域経済を本当に底上げするようなまちづくりこそ、今、こういう局面だからこそ……

 

 

◯議長(近藤光男君) 質問はあと1分で終了してください。

 

 

◯31番(山本明久君)(続) そういう発想が必要じゃないかというふうに考えています。それこそが、うちから輝いていく自治体づくりじゃないかというふうに私は思います。

ですから、そういう基本計画、基本的な考えを打ち出した上で、財政の面は今、具体的にはフレームをつくれないということですから、しかし、優先的に投入すべきは暮らしと地域経済分野、民生関係、商工農林水産関係、ここへしっかりと重点的に予算の配分もしていくという基本的な考えは、今、フレームは示さないにしても持つべきじゃないか。この考えは明確に述べていただきたいということで、私の質問を終わります。よろしくお願いします。

 

 

◯経営企画局長(鈴木 孝君) 2次総のテーマを住民福祉の増進に重心を移したテーマとすべきとの御質問にお答えをいたします。

2次総のテーマにつきましては、先ほど御答弁したとおり、市民ニーズの収集と分析に基づき、広範な市民参加により定めたものでありますので、これを変更する考えはございません。

以上でございます。