9月議会 反対討論

 日本共産党市議団を代表して、本議会に上程されております認定第1号、認定第7号、認定第16号及び第18号、議案第143号、147号及び148号に対する反対討論を行います。
 2020年度の1年は、私たちが経験したことのない新型コロナウイルス感染拡大の下、市民生活が様々な面で制約を受け、我慢を強いられる状況が続きました。その中で、政治力が試され、問われることになりました。この状況は、今日時点でも変わっておりません。
 年度途中である昨年9月、安倍政権を継承するとした菅政権が国政を担うことになりました。この間、コロナ対策では、緊急事態宣言を発出、解除を繰り返し、その度に感染爆発を誘発、国民からは無為無策と批判の声が上がりました。
 国民はあらゆるイベント行事、講演、集会などを自主規制または制限され、コロナ感染拡大防止に協力してきましたが、国は最大規模のイベントである五輪開催を強行しました。国民の苦難が続く中、諸外国で実施された消費税を期限限定でもせめて5%へ減税との声が上がりましたが、政府はこれを無視し続けました。
 地方自治体にとってもコロナ対策が喫緊かつ最重要の課題となり、市民の命と暮らしをいかにして守るか、首長の指導力が試されるものとなりました。コロナ対策は現在進行形であり、引き続き全力を傾注することが必要です。今後しかるべき時期に、しっかりと全体を総括し、今後に生かすことが大切であります。
 私たち日本共産党市議団は、これまで7次にわたり市民の命と暮らしを守るための提案を市長宛てに行い、施策に反映させてまいりました。
 以上のような状況を踏まえまして、認定第1号令和2年度一般会計歳入歳出決算について、反対理由を申し上げます。
 まず、マイナンバー制度に関して、マイキーID設定事業が進められました。これは、マイナンバーカード普及のためにキャッシュバックを行うというものであります。マイナンバーカードは様々な策を弄しても遅々として普及しない。個人情報の漏えいと監視社会に道を開くものと多くの国民にとって不安と警戒心が拭いがたいものになっているからではないでしょうか。反対せざるを得ません。
 リニア中央新幹線開通後のまちづくりに係る研究事業については、そもそもリニアトンネル工事に関して数多くの問題が指摘され、本年6月に行われた県知事選挙の結果にも反映、反対が県民世論となっている今、開通させること自体が問題となっております。開通するのかどうかも分からない事業に税金を使うことは許されません。
 アリーナ誘致でありますが、建設費用、維持管理費など膨大な費用を要する事業であります。市の財政負担、費用対効果など検証が必要です。建設ありきで進めるべきではありません。
 新清水庁舎建設事業については、移転建設反対の市民の強い声をよそに、民間簡易ヒアリングや他都市事例の調査などが行われました。昨年度5月に事業の一時停止、9月議会では、補正予算で債務負担行為の廃止が行われていることは御承知のとおりです。庁舎移転、建設については、反対を表明をしてまいりました。そして、改めて中止を求めます。
 霊柩車使用料や各種公共施設の使用料が軒並み値上げをされました。コロナで苦しむ市民生活をますます窮地に追い込むものであり、認められません。
 小中一貫教育の推進事業は、そのほとんどが現在の6・3制でも実施可能なもので、既にこれまでも推進をされてきているものがほとんどだと言えます。そのねらいや必要性は、市民に十分理解されておりません。1つの小学校から3中学校へ進学する場合の一貫性の確保などの問題をどうするのか、これもまだ解決をされていないと思います。来年度、市内の全校一斉導入は再検討すべきであります。
 国直轄道路事業は、全額国の費用で賄うべきです。地方自治体に負担させるべきではありません。
 本年度、自衛隊へ高校生などの宛名シールの提供が行われました。これまでの名簿閲覧という方法から一歩踏み込んだものであり、自衛隊法や住民基本台帳法、個人情報保護条例にも抵触するものとして、市民からも強い抗議の声が上がりました。自衛官募集事務、そして国民保護計画は、安保法制強行の下で米軍と一体となって戦争をする体制づくりが進められようとしている今、取り組むべきではありません。
 認定第7号特別会計である国民健康保険事業会計歳入歳出決算については、一部保険料の値上げを行いました。認められません。国保会計の繰越金は、昨年度国保運営協議会に示された見込みを上回っており、来年度保険料は値上げの必要は全くなく、むしろ引下げに向け検討をすべきであります。
 次に、企業会計です。認定第16号水道事業会計です。
 昨年10月から水道料金の値上げが行われました。コロナ禍の下で、市民の負担軽減のため、6月の値上げが10月に延期された。先ほども報告がありましたように、これは評価をされるわけですが、市民の苦しい生活、営業などの実態は、値上げ前と何ら今、好転をしているとは言えません。まさに音を上げているという状態です。値上げの理由はありません。
 認定第18号下水道事業会計については、下水道受益者負担金は都市計画税との二重徴収であり、認められません。しかも、住居から排水管がつながった時点ではなくて、地域に下水道管が敷設された時点で土地の保有者から徴収するというものであります。実際に受益者になるかどうか、土地を持っているからといって、分かりません。受益者という意味からもその趣旨に反します。
 次に、議案第143号令和3年度一般会計補正予算です。
 健診情報連携システム整備事業は、健康推進システムをマイナポータルと連動させて健診情報を確認できるようにするものですが、決算のところでも述べましたように、個人情報の漏えい問題が解決していない現状では、進めるべきではありません。また、一見便利のように見えますが、連携の対象が肺がん、乳がん、子宮がん、大腸がん、肝炎ウイルスなど命に関わるような情報をカード1枚で処理されるというようなことが市民の理解を得られるかどうか、疑問であります。
 次に、議案第147号静岡市歴史博物館条例制定についてです。
 私たち市議団は、歴史博物館建設事業そのものには賛成をしております。この条例第25条では、ここの管理を指定管理者に行わせるとしており、その点が反対であります。今、公の施設管理の手法は指定管理者によるものが主流となっておりますが、効率的で適切な管理が行われているか、改めて検証が必要になっております。本市の市立図書館は、市民の声と様々な検討の結果、直営が堅持されており、市民へのサービスが評価され喜ばれております。静岡駅北口駐車場エキパ、ここでは指定管理者が管理を事実上放棄、直営になりました。歴史博物館は図書館にも匹敵する公共性の高い施設です。直営での管理が求められます。
 次に、議案第148号静岡市個人情報保護条例の一部改正についてです。
 デジタル庁設置に伴い、内閣総理大臣が情報を一元化することに関わる条例改正であり、個人情報の統制、管理、集中を一層強化するものだと言わざるを得ません。
 以上、私たち日本共産党市議団は、これまでも市民の利益につながる議案等には積極的にもちろん賛成をしてまいりました。しかし、そうでないものについては反対すると同時に、その撤回を求め、新たな提案もしてきたところであります。今後も市民の命と暮らしを守り、向上を図るために全力を挙げることを表明して、反対討論といたします。